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記者解説 園田耕司

 「ここは我々のストリートだ!」「あと4年!」。14日、全米から集まったトランプ大統領の支持者が首都ワシントンで連邦議会に向けて行進した。その数は1万人以上。ノースカロライナ州から車で6時間かけて運転してきたという初老の白人男性は「選挙は多くの不正があった」と力を込めた。バイデン氏の勝利で歓喜にわいた街が、1週間後にはトランプ支持者で埋め尽くされる。これが分極化した米国社会の現実だ。

 大統領選で最大のニュースはバイデン氏の勝利ではない。トランプ氏が47%もの票を得たことだ。投票率が1900年以来最高だったとはいえ、トランプ氏が前回から約1千万票上積みして約7300万票を獲得したのは驚異だ。新型コロナウイルス対応で早期に察知していた危険性を隠蔽(いんぺい)し、専門家を軽視し、おびただしい数の感染者と犠牲者をもたらした責任者であり、「史上最悪の大統領」(バイデン氏)と指弾されたにもかかわらずだ。

 敗北したトランプ氏の動向が世論の関心を引き続き集めている。トランプ氏はフォロワー数8900万人のツイッターで「不正選挙が起きた」「私は大差で選挙に勝った」と根拠のない話を流し続ける。連邦政府はトランプ氏の指示でバイデン氏の政権移行チームへの協力を拒んでいる。

 米国は1989年の冷戦終結でソ連という最大の敵を失った。そこで保守派は共産主義に代わる新しい敵を国内に求めた。保守派重鎮で「米国第一」の提唱者として知られるパット・ブキャナン氏は92年の共和党全国大会で、リベラル派の価値観と戦う「文化戦争」を宣言し、「我が国にとって冷戦と同じくらい重要になるだろう」と予言した。伝統的なキリスト教倫理を重視する保守派と、文化の多様性を重視するリベラル派。人々の関心が内へ向かうに従い、人工中絶、同性婚、銃規制、社会保障といった問題で保守とリベラルの価値観がさらに激しくぶつかるようになる。

 この対立の根底に、米国社会の構造変化がある。

 一つ目が経済格差だ。グローバ…

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