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 2011年の東日本大震災で経済状況が悪化した高齢者は、関節炎の発症リスクが最大16%高まるとの研究結果を、山形大や東北大などの研究グループが発表した。震災前から宮城県岩沼市で行われている追跡調査の分析で、研究グループは「震災は精神面だけでなく、その後の身体的健康にも影響することが明らかになった」と説明している。

 調査は、全国で高齢者の健康状態を追跡調査する「日本老年学的評価研究」(JAGES)の一環。今回の分析では、震災前(10年)と震災後(13年)の調査データを基に、岩沼市の65歳以上の高齢者2360人について調べた。

 震災後に関節炎を発症したのは95人。震災で経済状況が悪化した人のうち発症した人は6・3%で、変化がなかった人よりも約3ポイント高かった。年齢などを調整して分析すると、経済状況が最も悪化した人では、発症リスクが16%高まった。

 また、全壊や半壊などの住宅被害に遭った人で発症したのは4・8%で、被害がなかった人よりも約2ポイント高かった。全壊被害を受けた人では、発症リスクが8%高まっていた。さらに、震災後に整形外科の受診を控えるようになった人は、発症リスクが16%高まることもわかったという。

 岩沼市でのこれまでの調査では、津波で住宅が全壊した人はメタボリック症候群のリスクが高まると指摘されている。だが今回は、肥満と関節炎発症との関連は見られなかったという。

 研究グループの山形大学大学院医学系研究科の池田登顕助教(社会疫学)は「揺れや津波被害が大きい場所ほど、関節へのダメージも大きくなると考えられる」とした上で、「経済状況の悪化などで治療が受けづらくなり、けがが慢性化するのではないか」と説明。関節のけがは気付きにくいことから、避難所に整形外科医らを派遣し、早期治療などにつなげる必要があると指摘した。(西田理人)

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