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 今年8月、お盆前の暑い朝のこと。辺りの木々にはセミが止まり、ジージーと音をたてて、夏らしくにぎやかだった。

 三重県松阪市に住む伊藤智子さん(56)は、家族が車で出勤したのを確認して門扉を閉めようとしていた。

 自宅に面した道路は伊勢神宮につながる旧道で、朝夕は交通量も多い。

 道路の向こう側に目をやると、中学生の男子2人が何かを話していた。

 2人の視線は道路の真ん中に向かっていて、そこには1匹のセミがいた。

 鳴き声は聞こえなかったが、仰向けになっているわけではなく、地面にじっと伏している。どうやら生きているようだ。

 離れたところにある信号機が赤になるまで、車はなかなか途切れない。いくつものタイヤがセミの横を通り過ぎていく。

 2人がセミを助けに行くタイミングを見計らっているのだと思っていた。ところが、こんな言葉が聞こえてきた。

 「あーっ、今のは惜しかったな…

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