【動画】医療機器会社が医師に売り上げの一部をキックバック 元をたどれば保険料や税金=撮影西田堅一
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 世界的な米系医療機器メーカー「グローバスメディカル」の日本法人(東京都千代田区)が、同法人の機器を購入した病院の医師側に売り上げの10%前後を戻していたことが朝日新聞の取材でわかった。同法人の内部資料によると、その額は少なくとも昨年1年間で二十数人に総額1億円超。医師本人ではなく、各医師や親族らが設立した会社に振り込み、キックバック(還流)していた形だ。

 医療機器の納入を巡り、医師側への大規模なリベート提供が明らかになった。医療機器の販売を巡る医師への資金提供は景品表示法に基づく業界の公正競争規約で禁じられており、これに反する疑いがある。患者のための機器選択が医師への金銭提供によってゆがめられた可能性がある。保険適用される機器の購入は、国民が負担する保険料や税金などが財源の診療報酬でまかなわれている。

 グローバス社日本法人は2016年に前身の会社を買収。背骨や腰の治療で使う脊椎(せきつい)インプラントなどの医療機器を販売している。価格は数万円から数百万円。一般的に、病院がこうした医療機器を購入する際、機器を使う医師の判断が重要視されるという。

拡大する写真・図版グローバス社による医師へのリベート提供の流れ

 同法人の関係者の話や内部資料によると、同法人は、医師本人やその親族らが設立した会社と「販売手数料」を支払う契約を締結。病院が医療機器を購入するたびに、販売額の10%前後を医師側の会社の口座に振り込む内容だった。二十数人の医師は関東や関西、九州の大規模な民間病院に勤務。医師側が昨年1年間で受け取った「手数料」は、1人あたり百十数万円から2千数百万円にのぼる。

 朝日新聞の取材に、日本法人のステファン・R・ラニーヴ社長は「契約については機密なので詳細を開示することができない」とする一方、「前身の会社を買収し、私が社長に就任(昨年8月)して以来、複数の相手との契約関係に気づいた。適法ではあるものの、世界にまたがる我々の商慣行や企業理念に反する。このため契約を解除している」と回答した。同法人関係者によると、同法人は現在、社内調査をし、医師側との契約解除を進めている。

 二十数人の医師に取材を申し込んだところ、複数人が受領を認めた。1人は「アドバイザリー契約の対価だ」と説明。別の1人は「医療機器会社の利益からもらっているという認識だった。今となっては倫理上問題があるとは思う」と話した。ほかの医師は取材に応じないと回答した。

 グローバス社は世界40カ国以上で医療機器の販売を展開し、脊椎インプラントなどの売り上げは世界有数だ。矢野経済研究所によると、日本法人の国内の2018年度の売り上げは約55億円。高齢化が進み、骨を接合する機器の国内の市場規模は、10年前から2割近く増えている。(沢伸也、浦野直樹)

■浮かび上がる法…

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