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北九州の教諭に「公務員アワード」 生徒の地域貢献応援

城真弓
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 福岡県北九州市立菅生中学校(小倉南区)の特別支援学級の教諭、小川亮さん(40)が今年、他薦をもとに優れた地方公務員を表彰する賞を受けた。障害のある子どもたちが環境をテーマに地域とつながり、社会貢献する活動が評価された。

 小川さんは市内の大学を卒業後、県立高校の講師や民間企業の勤務を経て、中学校講師になり、特別支援学校に赴任。障害のある子どもたちと接するのは初めてで、最初は戸惑うこともあったが、子の障害に悩む親から「先生のおかげで救われた」と言われたことなどでやりがいを感じた。2014年、教諭になった。

 障害のある子どもたちと関わるなかで、気づいたことがあった。支援を受ける立場に慣れ、普通学級の子よりも自尊心が低くなっているのではないか――。

 そこで3年前、前任地の霧丘中学校で授業の一環として「econnect(エコネクト) project(プロジェクト)」を立ち上げた。社会に役立っているという意識から自尊心を高め、自立につなげたいと考え、「エコ(環境)」をテーマに「被災地支援」「社会貢献」「国際交流」という三つの分野で行政機関や地域社会、企業とつながろうという試みだ。

 自立活動の時間や放課後などを使い、支援学級の子どもたちと間伐材を使った箸を地域で配ったり、最近では手作りのフェースシールドを被災地に送ったり。人と接するのが苦手だった男子生徒が、チャリティーイベントで耳の不自由な人に気付き、「筆談で説明したい」と、自らペンと紙を探したことがあった。小川さんは「喜ばれるという成功体験は自信につながり、またさらに次の行動にうつせるようになる」と話す。

 こうした取り組みが「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2020」を受賞した。地方自治体を応援するウェブメディアの運営会社「ホルグ」(横浜市)が17年に始めたもので、他薦をもとに、これまでに全国の公務員計50人が選ばれた。

 「生徒や保護者からの信頼は厚く、バイタリティーと発想力は卓越している」などと推薦され、審査員からは「並大抵の努力と精神力ではできない」「先生になってもらいたいナンバー1」などと評価を受けた。

 ただ、小川さんが今春異動し、前任地の子どもがプロジェクトに参加できなくなるなど、活動に限界も感じている。「子どもたちが学校の外に出て社会とかかわり、社会の課題を自分のこととしてとらえ、解決のために行動することは、障害のあるなしにかかわらず必要なこと」と小川さん。「今後は、市内のほかの学校や全国でもできるような方法を模索していきたい」と話している。(城真弓)