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 岡山県津山市の会社員小枝正和さん(49)が30日から、京都市下京区のひと・まち交流館京都で「世界の蝶と昆虫展」を開く。交通事故に遭い、一命を取り留めて3年。鮮やかな色や精巧な形に生命力を感じ、ネットなどで集めてきた昆虫の標本約800点を展示する。入場無料。12月4日まで。

 2017年6月。津山市のスーパーから国道に出る際、運転を誤って中央分離帯に乗り上げた。動けなくなり、車内でレッカー車を手配しようとしていたところ、後続車が小枝さんの車に衝突。気付いた時には、病院のベッドの上にいた。

 全身を強く打ち、頭蓋骨(ずがいこつ)陥没骨折や脳挫傷などの重傷。緊急手術を受け、一命を取り留めた。翌日に意識は回復したが、入院生活が3カ月あまり続いた。「事故による痛みはもちろん苦しかった。しかし、この体で仕事に戻れるか、元の生活ができるか、という不安で心が沈んだ」

 転機になったのが、入院先の病室でインターネットをしていた際、偶然に見つけた昆虫の画像。南米に生息し、青色で光沢をもつ羽で知られる「モルフォチョウ」の標本だった。自宅近くには雑木林があり、昆虫は身近な存在だったが、見たこともない姿だった。

 「日本では見たことがないほど美しい。一度見てみたい」。取り寄せると、鮮やかな羽の裏側は地味な茶色だった。羽を閉じれば、枝などと同じように見える色だ。天敵から身を守り、自然界で必死に生きようとしている生命力を感じた。

 退院後も、標本集めを続けた。温暖な気候で、種類が多い、南米やアフリカなど海外から取り寄せたものが多い。「何げなく買った標本から、必死に生きようと前を向く力をもらった。事故後の入院生活で暗く沈んでいた心が晴れた」

 今回の昆虫展で一押しの標本は、世界最大のカブトムシとされる「ヘラクレスオオカブト」や赤と青の羽の色合いが美しい「アグリアス」、バイオリンを背負ったような色や形の「バイオリンムシ」、七色に輝いて見える「ニジイロクワガタ」という。

 小枝さんは「新型コロナウイルスの影響で不安を抱えている子どもたちを勇気づけたい。標本を見て、前向きな気持ちを持ってくれたらうれしい」と話す。(吉村駿)

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