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 江戸時代に描かれた絵を現代アーティストが描いたら――。そんな一風変わった「浮世絵」の展示会が東京都千代田区外神田2丁目の神田明神で開かれている。

 特別展「江戸の浮世絵師VS現代アーティスト・イラストレーター・漫画家たち」。神田明神には歌川広重ら絵師が描いた約1500点の浮世絵が所蔵されており、幅広い世代に浮世絵への興味を持ってもらおうと企画された。18点の浮世絵をモチーフに、アーティストたちが我流で現代風に仕上げている。

 「下手な絵にはできない緊張感がありました」。描き上げた絵を見ながらそう話すのは、今回の取り組みに参加したこうじょう雅之さん(42)。歴史上の武人を描く水墨画家として知られるアーティストだ。

 モデルに選んだ浮世絵は歌川国芳の「遇躬八藝(おうみはっけい) 武蔵野秋月」。歌舞伎狂言の一場面を切り取った作品で、背中に閻魔(えんま)王の入れ墨をまとった男が刀を突き立てている様子が描かれている。こうじょうさんは原画を目に焼き付けつつも模写にならないように意識しながら、下絵を何度も描き直したという。「浮世絵の持つ『静』の表現に自分の画風が混ざることで『動』の絵になったはず」。濃淡を繊細に使い分けながらも豪快で迫力のある墨絵に仕上げた。

 今回は計18人の漫画家やイラストレーターが参加した。人気アニメ「とっとこハム太郎」の原作者・河井リツ子さんは、神田明神の祭礼をもり立てる人々を愛らしいハムスターの姿で描いた。人気イラストレーターの岸田メルさんは、丸髷(まるまげ)姿の女性にポニーテール風のヘアアレンジを施し、現代版の美人絵に仕立てた。ほかにも、絵の構図を大胆に変えたり、自分の作品のキャラクターを織り交ぜたりとさまざまなリライト作品が並んでいる。

 日本風俗史学会理事で浮世絵研究家の山本野理子さん(46)によると、浮世絵はもともとパロディーの側面が強い大衆芸術だという。平安時代の源氏物語を江戸時代風の着物姿で絵に起こすといったアレンジ作品が多く、「今回の取り組みとも共鳴するのでは」。リライト作品を見た山本さんは「髪形や着物を現代風にデザインにしたり、登場人物の性別を変えてみたりと、実に浮世絵らしい遊び心があふれていておもしろい」と評した。

 展示は29日まで。入場は午前9時~午後4時、大人300円、学生200円、中学生以下無料。(大山稜)