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 サケの魚体が陽光に輝き、浜風ですだれのように揺れる晩秋から初冬の風物詩「寒風干し」が、今年も北海道別海町の西別川河口に広がっている。

 西別川は世界有数の透明度を誇る摩周湖の伏流水が水源。別海漁協によると、江戸時代には川を故郷とするサケを十分に吟味し、丹念に塩引きした寒風干しが、第11代将軍家斉の時から徳川将軍家や大奥に毎年献上されていた。

 この伝統を受け継ぎ、漁協は西別川生まれの秋サケの加工製品を「西別鮭(ざけ)」としてブランド化。大量の塩をまぶして山積みし、サケ自体の重さで水を抜く江戸時代からの「山漬け」、ひと塩加工による「甘塩造り」、それに「寒風干し」だ。

 中でも山漬けと脱塩の工程に加え、冷たい風に4日ほどさらす天日乾燥でうまみを出す「寒風干し」は「献上造り」の名を持つ。12月上旬までつくられ、伊勢神宮に毎年奉納される。

 秋サケの不漁で質のよいサケの確保が難しいなか、今年6月には根室海峡地域の「鮭の聖地」の物語が、文化庁主催の日本遺産に認定された。西別川での山漬けや寒風干しによる「献上鮭」づくりも、同遺産の構成要素を成す。地元ではサケ製品の知名度のさらなる向上が期待されている。(大野正美)

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