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 生まれ故郷の岐阜に帰った30歳目前の3人が、伊吹山の薬草を使ったクラフトコーラづくりを進めている。その名も「ぎふコーラ」。織田信長の時代から伝わる薬草の文化を継承し、「罪悪感なく飲めるコーラ」として地元を代表する特産品を目指している。

 コーラづくりに取り組むのは、岐阜市内でオーガニック料理専門店「to U」を経営する片山治さん(29)、岐阜県揖斐川町の薬草料理店「健食茶房『キッチンマルコ』」店長の四井智教さん(29)、同町地域おこし協力隊の泉野かおりさん(29)の3人。

 大学進学や就職などで地元を離れたことがある3人は、「何でみんな岐阜を知らないんだろう」と故郷を見ていたという。

 東京で6年間、料理の修業をした片山さんは2年前、岐阜駅近くに店を開いた。それを機に「自慢できる土産品をつくれないか」と考えた。注目したのが薬草だった。

 調べるうちに、伊吹山のふもとにある旧春日村(現・揖斐川町)は、薬草の自生地であることを知った。信長がポルトガル人宣教師の教えにより、伊吹山に薬草園を開拓し、約280種類もの薬草が育ったと伝えられている。

 コーラの起源が、米国の薬剤師がスパイスなどを調合して開発した栄養ドリンクだったことも調べ、薬草との相性の良さを実感した。若者を中心に人気があるスパイスを使ったクラフトコーラを特産品に、と決意した。

 課題は、薬草の入手方法だった。偶然知り合った薬草料理店長の四井さんに思いを打ち明けた。「やってみよう」と2人で盛り上がった。

 揖斐川町まちおこし協力隊の泉野さんは、コーヒー豆専門商社を退職、ベトナムのカフェで働いていた。片山さんと四井さんは「30歳までに何とか形にしよう」と、帰国間もない泉野さんにも声を掛け、今年1月、同い年の3人によるプロジェクトが動き出した。

 春日地区の薬草の自生地に何度も足を運び、入手経路を開拓することから始めた。農家の協力もあり、ヨモギ、カキドオシ、ドクダミ、ヤブニッケイの4種類を使うことにした。これを調合し、砂糖やかんきつ類、スパイスと煮込んで「ぎふコーラ」のシロップを開発した。

 できあがったシロップは薬草の苦みを感じさせない、すっきりとした後味。炭酸水で割るだけでなく、牛乳やワイン、ジン、ウイスキーなどと合わせて飲んでもおいしい。片山さんは店の料理に隠し味として使い、評判も上々という。泉野さんは「不健康なイメージのコーラが薬草によって健康的でおいしくなった」と手応えを感じている。

 量産化に向け、10月中旬にクラウドファンディング(CF)で支援を募ると、あっという間に目標の100万円を達成。次の目標を300万円に設定し、11月29日まで引き続き支援を呼びかける。

 来年夏には第2弾として、県内特産の柿や栗などを薬草に加えた新商品の販売を目指している。

 片山さんは「この活動を通じて、故郷を考え直すことができた。薬草文化をコーラという新しい形で表現し、今と昔をつないでいきたい」と話す。

 「ぎふコーラ」への支援CFはhttps://camp-fire.jp/projects/view/319715別ウインドウで開きます。(松永佳伸)