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【答える人】大橋洋輝さん 東京慈恵会医科大 脊椎・脊髄センター長(東京都港区)

 55歳女性。昨年検査で「キアリ奇形」による「脊髄(せきずい)空洞症」と診断されました。最近、趣味でゴルフをはじめたのですが、素振り練習をすると頭痛が起こります。すぐ症状はおさまるのですが、練習は控えた方がよいのでしょうか。(東京都・N)

 Q 脊髄空洞症とは。

 A 首から腰まで伸びる神経の束が脊髄ですが、その束の内部に液体がたまって神経が傷つけられる病気です。患者さんにはよく、豆腐パックに例えて説明します。やわらかい豆腐(脳や脊髄)は水(髄液)に浮かぶようにパック(頭蓋骨(ずがいこつ)や背骨)に入っていますよね。この豆腐の内部に水たまりができるイメージです。

 せきこんだり踏ん張ったりしたときに神経が圧迫され、頭痛や手足のしびれが起きます。徐々に悪化して神経がさらに傷つくと運動障害もでます。発症は10万人に約8人という報告もありますが、頻度はもう少し高いと考えられています。

 Q なぜ液体がたまるのでしょうか。

 A はっきりした仕組みは分かっていません。脳や脊髄は周りを髄液(ずいえき)で満たされ、衝撃から守られています。髄液は常に循環していて、この流れが滞ると空洞ができます。

 Q キアリ奇形とは。

 A 脳と脊髄がつながる後頭部では、神経の束が通るために頭蓋骨に穴が開いています。この穴から、本来は頭蓋骨の中に収まっている脳の一部が5ミリ以上はみ出す奇形です。はみ出した部分が、髄液の流れるすき間をせばめてしまい循環が滞ると、脊髄空洞症を発症します。一般に、遺伝はしないとされています。

 Q 治療法は。

 A 滞った循環をもとに戻すと、空洞が自然に消えることがわかっています。頭蓋骨の穴をわずかに広げる手術で、髄液の滞りを解消することができます。手術をしなくても、痛み止めなどの薬で症状は一時的に緩和されることもあります。ただ、一度傷ついた神経は基本的にもとに戻らないので、手術をしなければ、症状がそれ以上よくはならず、徐々に悪化します。

 Q ゴルフの練習は?

 A 力を込めたときの頭痛は典型的な症状で、控えた方がいいでしょう。手術にリスクは少なからずありますが、症状の進行が止まり、その後は運動も問題なくできます。一般的には主治医と相談の上で、手術をお勧めします。

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