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 東京電力福島第一原発の事故後、県産農産物の輸入禁止が続く台湾からの留学生らを県内各地に招待し、事故後の現状や福島の魅力を発信してもらう取り組みが始まった。風評被害を払拭(ふっしょく)し、将来的には輸入再開につなげたい考えだ。

 企画は、NPO法人元気になろう福島(川内村)と東京台湾の会(東京都中野区)が連携して実現した。日本の大学院や大学で学ぶなどした来日2~9年の20代前半から30代前半の男女5人を招き、16日から21日まで5泊6日の日程で県内各地を視察した。

 その中でほぼ連日向かったのが農業の現場だ。米、リンゴ、トルコギキョウ、養鶏、酪農、キュウリなど計9カ所の生産現場を訪れ、原発事故に伴う風評被害、放射性物質の検査などについて農家から聞き取りをした。

 来日7年目で都内で広告会社を経営する呉(ご)廷中(ていちゅう)さん(32)は「検査体制がしっかりしており、検査していない農産物より、むしろ安全だ」と驚く。来日2年目の大学院生、許(きょ)宸瑋(しんい)さん(24)は「安全で安心であると台湾にどう伝えるか、難しい」と話していた。

 5人は線量計を持ち歩き、行く先々で放射線量を計測した。視察前の15日に福島市で開いた記者会見で口をそろえて語っていた福島県の印象が原発事故で、台湾人の関心も高いという。

 3日目にはその福島第一原発も視察。呉さんは「事故の大きさを改めて感じ、重い気持ちになった」、許さんは「廃炉作業は簡単ではないが、現場の作業員は一生懸命取り組んでいた」などと話していた。

 最終日の21日には喜多方市内で福島大の学生、首都圏の大学生とはオンラインで結び、「福島と台湾の交流拡大のため、若い世代に何ができるか」をテーマに意見交換。日本で観光を学んだ李昀霏(りいんひ)さん(25)は、福島の人たちに多く触れたことで「台湾と福島を結ぶ仕事がしたいと思うようになった」と語った。

 視察中、留学生らはスマートフォンで撮影した画像や各地で測った放射線量をSNSを使って発信。5人は12月11日~18日に台北市であるイベントに日本からオンラインで参加し、今回の視察について伝えるという。

 留学生を招いたNPOの本田紀生理事長(63)は「台湾の人の目で見て、聞いて、感じたことを隠さず、発信してもらいたい」、台湾の会の簡(かん)憲幸(のりゆき)事務局長は(66)は「今回は5人だが、福島を支援する仲間を台湾で1万人集めたい」と話す。

 来年度は、避難指示区域などが定められた県内被災12市町村に重点的に入ってもらう活動を検討していくという。(長屋護)

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