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 北海道は24日夕、新型コロナウイルス対策本部会議を開き、国の「Go To トラベル」事業について、札幌市での一時停止を国に申し入れた。これを受け、国は札幌市で同事業を24日から12月15日までの3週間にわたり停止すると決定。道は事業者への支援などを国に求める。

 鈴木知事は前日の23日、札幌市での「トラベル」の一時停止を検討すると表明。24日の対策本部会議で停止を国に求める方針を決めた。鈴木知事は「大変苦しい判断だが、札幌市内における『Go To トラベル』事業の一時停止はやむをえないと判断した」と述べた。

 対策本部会議で道は札幌市について、国の基準で「感染急増期」となる「ステージ3」にあたると判断。市内では今月23日時点で、ステージ3の基準となる7指標のうち、「現在療養者数」や「1週間の新規感染者数など」4指標で目安を上回った。他の指標も近く上回る可能性がある。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は20日の提言で、「ステージ3」にあたる地域について、「トラベル」からの除外を求め、分科会の尾身茂会長も札幌市を「ステージ3相当」と名指ししていた。こうした状況を受け、道も札幌市を国の「ステージ3」にあたると正式に認めた形だ。

 道内の足もとの観光業は、訪日客がほぼない中、「トラベル」の国内客に大きく依存している。交通の起点となる札幌での一時停止は、道内の他地域の観光にも影響する。鈴木知事は会議で、「利用者や(観光などの)事業者に甚大な影響が生じることから、国に万全の支援をお願いしたい」と述べた。

 さらに鈴木知事は飲食業支援の「Go To イート」やイベント支援の「Go To イベント」についても、「札幌市内での対応を速やかに検討するよう指示する」と述べた。23日は「イート」などについて具体的に言及しなかったが、今後の札幌市内での事業を見直す方向だ。道は独自の「どうみん割」についても見直す方針だ。

 また、27日までの「集中対策期間」における札幌・ススキノ地区での飲食業への深夜営業自粛要請などについて「28日以降の対策を速やかに検討する」とし、近く再度本部会議を開く。(斎藤徹、松尾一郎)

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 道議会で24日開かれた委員会では、道が前日23日に札幌市での「Go To トラベル」事業の一時停止の検討を表明したことに対し、道の対応を疑問視する声が出た。

 食と観光対策特別委では、宮下准一道議(自民)が「札幌市の面積は東京23区の2倍弱もある。市内でもさらに対象エリアを絞る考えもあった」と指摘。市中心部だけでなく、郊外の温泉街の定山渓地区も一時停止対象に含まれることを疑問視した。

 総合政策委員会では、中川浩利道議(民主)が「『Go To』の一時停止では国の対応が遅かったのでは。道はあらかじめ先の展開を予測すべきではないか」と指摘。道幹部は「有識者の意見も聞き、これまで以上にスピーディーな対応を行っていく」とした。

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 札幌商工会議所と札幌市は24日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため深夜営業の自粛要請などが出ている札幌・ススキノ地区の事業者向けに、緊急の経営相談会を始めた。長引くコロナ禍で資金繰りが厳しい店が増えており、27日まで無料で相談に応じる。

 ススキノ地区のホテルに設置された相談ブースでは中小企業診断士らが対応するほか、政府系の日本政策金融公庫の担当者とテレビ電話でつなぎ、融資の相談にも応じる。

 24日午前に訪れたスナック経営の70代女性は「客足はどんどんひどくなっている。11月は売り上げがゼロの日の方が多い」という。営業自粛要請を受けて午後9時半ごろには閉店しているが、家賃などの固定費が毎月数十万円かかる。「スナックは(食事の後の)2軒目としての利用が多い。このままでは年末の宴会も減る。不安しかない」と話す。札幌商工会議所の担当者は「コロナで業績が悪化して春先に一度融資を受けた事業者も、再び資金繰りが厳しくなっている」と指摘する。

 道と札幌市は7日からススキノ地区で、接待を伴う飲食店などには午後10時以降の営業自粛を、居酒屋やカラオケ店などには酒類の提供自粛を求めている。さらに札幌市での「Go To トラベル」の一時停止も検討され、客足が一段と遠のく懸念が出ている。(長崎潤一郎)

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