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 老後の資金作りで投資信託が注目されている。選ぶ際に要注意なのは、手数料の一つ「信託報酬」の差だ。日経平均株価に連動させるなど運用成績が同様なはずの投信も、信託報酬が違えば投資家の得る果実が異なる。最近は手数料競争が激しいが、古い投信には手数料が高く運用効率も悪いのに残り続け「ゾンビ投信」と呼ばれるものもある。

 投信は投資家のお金をまとめて株や債券に投じる商品。運用はプロに任せ、保有期間中などに手数料を払う。最近は購入時手数料がゼロの「ノーロード」型も増えるなど引き下げ競争が盛んだが、同様な商品でも手数料率は違う。購入者からみると「一物二価」どころか三価・四価が実情だ。

 たとえば、日経平均株価の値動きに連動して運用する投信。野村アセットマネジメント(AM)の7商品の信託報酬は年0・17~1・52%と幅がある。三菱UFJ国際投信は、0・14%と業界最安水準の「eMAXIS Slim国内株式(日経平均)」を持つ一方で、「三菱UFJ インデックス225オープン」は0・62%と4倍超だ。同社は理由として販売経路の違いをあげる。前者は主にネットで、後者は主に対面で販売。「顧客対応を直接行うことや報告書郵送などのコストが異なる」という。

 販路が同じでも、投信の設定時期の差で信託報酬が違うこともある。大和AMは日経平均連動の商品を10本持ち、信託報酬は0・14~1・52%。その差の理由として、同社は設定時期の違いもあげる。「近年設定しているファンド(投信)は、競争上の観点から低水準」という。

 こうした信託報酬の差について、専門誌「投資信託事情」の島田知保編集長は「古いことは、他より高い信託報酬を課す合理的な理由にならない。投資家にも不公平な状態だ」と話す。

 老後への資産形成の重要性が叫ばれ、長期の積み立て投資に関心が集まる。保有中に払い続ける信託報酬の差は長期の運用成果に響く。金融庁は6月、古くに設定された小規模投信は運用効率が悪く信託報酬も高め、と分析した報告書を公表。小規模ファンドが乱立する課題を指摘した。

 業界では「ゾンビ投信」と呼ばれ、複数商品を一本化する併合の必要性が叫ばれている。併合すれば運用会社の管理費は下がる。さらに「仮に併合する場合、信託報酬は低い方に合わせる」(三井住友DSAM)、「原則として高い(方の)信託報酬率は採用しない」(三菱UFJ国際投信)など投資家への恩恵も多い。

 しかし、販売会社の手間がかかったり、投信を管理する信託会社を代えたりする必要も生じる。こうした「しがらみ」から多くの運用会社は消極的で、顧客本位ではなく業界本位とも言うべき現実がある。

 大和AMは「販売会社各位に多大な負担をおかけすることも勘案する」と説明し、三菱UFJ国際投信は「効率的な運用をめざしてファンドの統合・併合は当社としても切望するが、課題も多く販売会社との調整に難航している」という。(柴田秀並)

 老後の資産形成について知りたいことを、〒104・8011(住所不要)朝日新聞東京本社経済部「シニアマネー取材班」(メールはkeizai@asahi.comメールする)にお寄せ下さい。