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 三重でつくって、三重で食べて、三重を支える――。三重にゆかりのある生産者や加工業者、料理人が集まり、コロナ禍に見舞われた地元の食材を活用して、商品開発などをする団体「三重の恵み」を結成した。地元の高級食材を使うアイデア加工品を、地元の人たちが気軽に食べる。そんな食のあり方を提案している。

 東京で割烹(かっぽう)料理店「伊勢すえよし」を経営する四日市市出身の料理人、田中佑樹さん(32)が代表を務め、県内の生産者らと協力して活動する。

 「コロナ禍で2万匹のマダイが行き場を失っている」。政府の緊急事態宣言が出されていた4月、田中さんは南伊勢町でマダイの養殖を手がける橋本純さん(45)から、そんな報告を受けた。付き合いのある三重の生産者たちからも、伊勢エビやハマグリなどが値崩れする現状を聞いた。新型コロナの影響を受けているのは「高級食材」と気付いた。なぜか――。オンラインで三重の生産者たちと毎晩のように語り合った。

 すると「食の流通」の問題点が浮かび上がった。「高級食材は、三重から遠い都市部の顔の見えない誰かに消費されている。地産地消ができていない現実に気付いた」。コロナ禍で高級食材が余った原因の一つが、こうした食の流通にあると考えた。これが、オンラインでつながった生産者らと手を組む三重の恵み結成につながった。

 まず、橋本さんが育てた「伊勢まだい」を使った商品を考案した。みかんや海藻の粉末などを混ぜたえさを与えて育てた伊勢まだいを、新鮮な状態のままマイナス60度で冷凍。地元のアオサや調味料などと合わせ、「伊勢まだいのかぶせ茶漬け」を商品化した。県内向けの価格は、2食入りでほぼ原価の1404円(税込み)とした。

 9月には桑名のハマグリや熊野の地鶏など、地元食材を使った5種類の炊き込みごはんの素を商品化した。販売店舗はホームページ(https://mienomegumi.stores.jp/別ウインドウで開きます)から確認できる。

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 商品開発以外に、こうした挑戦を若い世代に発信するため、出張授業を開いている。

 今月17日には、「高校生レストラン」で知られる県立相可高校(多気町)調理クラブの約60人を前に、橋本さんと志摩市で加工業を営む石川隆将さん(40)が登壇。田中さんはオンラインで参加した。橋本さんは「生産者は命を育てている。その命のバトンをつなぐのが料理人です」。三重の恵みは今後、同校調理クラブと連携して地元食材を使った商品を開発するという。

 地元食材に向き合う「心の流通」をテーマに掲げる田中さん。「料理を通じて、生産者や食材の魅力を発信したい」と話す。(大滝哲彰)

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