[PR]

 新型コロナウイルス対策として、東京都世田谷区が無症状の介護職員らを対象に進めているPCR検査で、陽性率が高まっている。区は、検査数をさらに増やすため、複数の検体をまとめて検査する「プール方式」の導入を国に要請する方針だ。

 この検査は、クラスター(感染者集団)化を未然に防ぐために区が10月から独自に始め、「社会的検査」と呼んでいるもの。症状の有無にかかわらず、区内の介護施設や障害者施設、保育園や幼稚園、小中学校などで働く人が対象だ。希望する施設に定期的に検査する「定期検査」と、感染者が出た施設を調べる「随時検査」がある。

 区によると、10月2日から今月1日までの検査数は576人(45施設)で、うち陽性者は2人。陽性率は0・3%だった。だが、2日から22日までの960人(45施設)のうち、陽性者は18人に上り、陽性率は1・9%まで跳ね上がった。保坂展人区長は「まだ検査数が少なく単純には比較できないが、東京でも感染者が増えている。その影響を受けているのではないか」と話す。

 区は重症化リスクの高い老人施設から検査を始めている。特養老人ホーム「博水の郷」では今月13、14日に職員61人が検査を受け、10人の陽性者が出た。その後、さらに職員3人と利用者2人が増え、陽性者は計15人となった。いずれも無症状だった。保坂区長は「症状が出てから検査をしていたら、もっと感染が広がっていたかもしれない。その段階では施設運営を継続、維持するのは難しい。重大になる前に感染者集団を見つけ、未然に防ぐことができた」と評価した。

 区は当初、検査時間を短縮するために、複数の検体を試験管内にまとめて検査するプール方式を採用する予定だったが、国は「精度が不明」として、国費で賄う行政検査として認めていない。

 保坂区長は16日にあった記者会見で、東大先端科学技術研究センター(目黒区)の研究結果を紹介した。これによると、陽性の12検体を含む376検体を区のボランティアらから収集。自動装置で4検体を1本の試験管に入れるプール方式で検査すると、12検体から陽性反応が出て、通常のPCR検査と一致した。検査時間を約半分、費用も3分の1に抑えることができたという。

 現在、社会的検査の上限は1日に200件ほどだが、プール方式だと上限を1千件程度まで引き上げられるという。区は来年1月までに2万件以上の社会的検査を予定しており、プール方式の有用性を国に訴えていく方針だ。保坂区長は「スピード、費用ともに抑えることができる。これだけの拡大期なのだから、(プール方式導入を)国は躊躇している段階ではない。早く認められるように働きかけていきたい」と話した。(野田枝里子)