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 結婚や出産による離職を経て再就職の機会を探る女性と、企業を結びつけるマッチングイベント「ママドラフト会議」が、25日に山口市で開催される。昨年に続き2回目。再就職に不安を抱え、一歩を踏み出せずにいる母親も多い。

 総務省の2017年の就業構造基本調査によると、県内在住で働く意欲はあるが就労していない子育て中の女性は1万2600人。うち9200人が具体的な就職活動をしていない。

 山口市に住む4児の母、笹木聡子さん(41)もそんな女性の一人だった。「育児の事情を理解する企業が集まるなら、社会と関わるリハビリも兼ねて」と、イベントへの参加を決めた。

 専門学校卒業後、設計士として住宅設計事務所に就職した。その後旅行会社で添乗員として働いていた約10年前、長男の妊娠を機に退職した。2人目の出産後は「いっぱいいっぱいで、社会復帰を考える余裕がなかった」と笹木さん。

 気がつけば離職して10年。一番の不安要素は家庭との両立だ。2級建築士など四つの資格を持つが、パソコンなどの機器の変化に適応できないのでは、という不安も感じる。勤務は週1、2回、1日3~4時間を希望している。

 小学生2人の母親でもある防府市の松井多香子さん(43)は、5月に県内の酒造会社の仕事を辞めた。新型コロナの影響で小学校が休校になったのを機に、子どもとの時間の大切さに気づいた。家庭を優先しながら働ける仕事を求めてイベントの参加を決めた。

 「都合よく雇われるのはつらい。働く母親を個人として考え、能力を生かそうとしてくれる会社か見極めたい」と松井さんは話す。

 ママドラフト会議はもともと、福岡市のNPO法人「ママワーク研究所」が14年に始めた。参加する企業に対しても事前に講座を受講してもらい、子育て中の女性が活躍する企業の取り組みを知ってもらう。業務の内容を細分化するなどして、時間的な制約があっても働きやすい仕事づくりも提案している。

 同法人の田中彩理事長(46)は「企業も、ママ人材をパートタイマーとして見るのではなく、プロとして考えてほしい」と話す。

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 山口市でのママドラフト会議はNPO法人「あっと」(山口市)が企画・運営し、昨年初めて開催。17人のママが就職した。その一人、山口市の井上幸美さん(33)は「仕事の時間はママの皮を脱ぐことができる」と話す。

 市内のインターネット関連会社で、海外の文書からデータを抽出する管理業務を担う。

 5年前まで、中国の河南省で日本語教師をしていた。結婚を機に帰国し、3年前に夫の転勤で山口に。昨年のママドラフト会議に参加し、「子育てしながら働ける会社を一緒につくっていきたい」という現在働く会社のPRに希望を感じた。子どもと一緒に会社を見学し、就職。いまは子どもを保育園に預けて週に5回、1日6時間働く。子どもが熱を出した時もすぐに相談できるという。

 「子育てで身に付いた時間管理は強み。仕事を通じて自分の時間をもつことで心の余裕ができ、より子どもと向き合えるようになった」

 同社の担当者は「語学力に強いメンバーを強化したいと考えていた。業務管理の段取りは周りに見習ってほしいくらい。いい影響になっている」と話す。(寺島笑花)

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