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 千葉県富津市の新富津漁業協同組合で養殖カキの出荷が始まった。ノリ養殖施設の一画で育てて3年目。出荷量は着実に増え来春までに3万個以上の販売を見込んでいる。今年は沖縄や愛知にも初出荷。全国ブランドを目指して「江戸前オイスター」と命名した。

 新富津漁協は、不漁の続く特産のノリ漁を補完しようと2018年から試験的にカキ養殖を始めた。市内や近隣の飲食店への販売だったが、「美味」の評判が高まり、東京のフランス料理店や神奈川のすし店などから注文が舞い込むようになって販路は広がった。

 同漁協の浅倉正信さん(43)によると、今年は11月中旬から販売を始め、初めて沖縄、愛知両県の飲食店にも出荷した。直接の取引先は30店舗以上に増える一方で、仲買業者を通じて横浜市の市場でも取引され、近く東京・豊洲市場にも出荷するという。

 身入りが良く、ジューシーで濃厚な味わいが人気という。今年から取引を始めた東京の人気オイスターバーでも評価が高い。

 地元の海で採取した小さなカキの稚貝を専用かごに入れて沖合のノリ養殖施設の海中につるす。カキ同士ぶつかり合い、形が良くカップの深い殻が形成されて肉厚になるという。

 「沖合は潮通しも良く、東京湾の内湾の栄養豊かな海水が流れ込んでカキをおいしくする」と浅倉さん。定期的にカキやかごを陸上で洗浄するなどして丁寧に育てている。

 カキは夏の産卵後は身がやせて食用には適さなくなる。新富津漁協は産卵前の「1年カキ」や産卵後に夏を越して順調に身をつけたカキを秋~冬に出荷してきた。同漁協は年間を通しての出荷を目指して10月から「三倍体カキ」の養殖を始めた。品種改良した「産卵しないカキ」で、来夏以降に通年出荷を目指す。

 全国の人たちに広くなじんでもらおうと、「江戸前オイスター」と命名し、近く商標登録をするという。浅倉さんは「有名産地に負けないおいしいカキが東京湾で育つことが実証できた。江戸前ノリに続く全国ブランドとして育てたい」と語る。(吉江宣幸)