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 新型コロナウイルスの感染爆発で、世界の大都市から「脱出」する住民が後を絶たない。都会での暮らしを捨てて地方へ向かう「コロナの時代」の選択は、住まいと働き方の新しい在り方を私たちに問いかけている。

新鮮な空気を求めて

 米シリコンバレーの中心地、カリフォルニア州サンノゼの近郊に住む言語聴覚士の女性コリーナ・チャンさん(36)は9月、州外に引っ越そうと思い、所有するアパート1室(130平方メートル)を売り出した。3日で買い手がつき、売却額は購入時の倍近い92万ドル(約9600万円)だった。

 移住先はカナダ国境に近い米北西部ワシントン州ベリンハム。森や湖に囲まれた場所に立つ307平方メートルの一軒家を71万5千ドル(約7400万円)で買った。「カリフォルニアでは山火事が怖かった。引っ越して新鮮な空気を吸える」

 カリフォルニア州では毎年のように山火事が起き、今年は過去最大規模になって都市部にも大量の煙が流れ込んだ。チャンさんは山火事に加え、高すぎる生活費や通勤渋滞、隣人の騒音にうんざりだった。さらに新型コロナによる外出制限で気がめいった。同州の新型コロナ感染者は累計で100万人を超えた。

 チャンさんは、言語機能に障害を持つ人のリハビリをオンラインでもできるようになり、移住を決めた。シリコンバレーにはグーグルやアップルの本社があり、起業やIT企業就職で転入者は絶えない。だが、テレワークの加速でチャンさんのような転出者も増えている。

 ただ、誰もが仕事を維持したまま、移住できるわけではない。欧州連合(EU)の専門機関の研究者らの分析によると、EU域内の被雇用者の約4割が在宅勤務が可能だが、在宅勤務に完全に切り替えることができるのは、その約3分の1という。

「東京にいる意味はない」
大都市脱出の動きは、世界各地で、そして日本でも。本社機能を地方に移す企業も出てきています。記事の後半では茶専門店LUPICIA(ルピシア)の決断を紹介します。

年収は減ったけど

 転職して都市から地方へ移る人もいる。パリに9年間暮らした会社員女性メラニー・モラさん(30)は地下鉄を3回乗り換え40分かけて、エッフェル塔が見えるIT企業へ通勤した。恋人と暮らすアパートは45平方メートルで家賃は月額1400ユーロ(17万2千円)。窓を開けると、目の前に向かいのアパート。人づきあいは仕事関係だけだった。

 3月に外出禁止令が出されると、近所のスーパーの棚から小麦粉や卵がなくなり、病院は重症患者であふれた。2カ月後、外出禁止令が解除されると、モラさんは「心の中でカチッと何かが鳴った」。

 恋人と別れ、パリ脱出を決めた…

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