編集委員・吉田純子
ひとりで過ごす時間も、誰かと一緒にいる時間も、自分次第で等しく成熟の糧になる。バイオリニスト、庄司紗矢香のそんな信念は、コロナ禍で確信に変わった。現在、パリ在住。共演するアイスランド出身のピアニスト、ビキングル・オラフソンとともに来月、2週間の自主隔離を経て、全国で新たな成熟の境地を示す。
拡大するバイオリニストの庄司紗矢香さん=植田真紗美撮影
この人の音には、ひとりの芸術家が完成されてゆく多様なプロセスがそのまま宿っている。文学、美術、舞踊、映像など、さまざまな芸術に心を開く。2007年からビデオアートも始めた。旅に出て撮影し、編集も自らの手で。絵コンテを描くために始めた油絵も、趣味のひとつになった。
「音楽は抽象的で、極めて精度の高い芸術。難解な印象を、視覚的にほどいていくことができれば。わざわざ言葉で説明する必要はないけれど、私はこんな風にこの曲を感じています、というメッセージを伝える工夫は、もっといろいろあっていいのでは」
舞踊家の勅使川原三郎や美術家の杉本博司ら、新しい世界に導いてくれる存在を常に探し求めている。共演者も「知性と感性のバランスが面白い」という今回のオラフソン、メナヘム・プレスラー、ジャンルカ・カシオーリら「楽器を手にしていなくても、議論を楽しみ、人生を通じて共に成長していける人」ばかり。
そもそも「弾く」ということが…
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