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 福岡県は25日、宗像市の養鶏場で鳥インフルエンザが発生したと発表した。養鶏場での確認は今季、香川県に次いで2県目。養鶏場の発生は福岡県では初めてで、九州では2017年2月に佐賀県で発生して以来3年9カ月ぶり。国は感染経路を特定する調査を始め、感染拡大への警戒を強めている。

 福岡県によると、24日午後1時40分、宗像市の養鶏場から「1棟で37羽の鶏が死んだ」と県中央家畜保健衛生所に通報があった。簡易検査でA型インフルエンザ陽性が確認され、遺伝子検査の結果、25日午前5時に高病原性の可能性があるH5亜型と判明した。今後、農林水産省が詳しく検査し、結果を確定させる。

 養鶏場では12棟の鶏舎があり、約9万3500羽の肉用の鶏を飼っていた。25日朝から県や宗像市、JAの職員らが200人態勢で全羽の殺処分や埋却、消毒の作業を始めた。同日午後からは災害派遣要請を受けた陸上自衛隊も加わった。作業は72時間以内に終える予定だという。

 感染拡大防止のため、県は養鶏場から半径3キロ以内を家禽(かきん)の移動を禁止する「移動制限区域」(対象の養鶏場は1戸約1万7千羽)、半径3~10キロ以内を区域外への搬出を禁止する「搬出制限区域」(同6戸約12万4千羽)に設定した。

 農水省は25日、専門家チームを現地に派遣し、感染経路を特定するための調査を始めた。宮内秀樹・農水副大臣は福岡県庁で小川洋知事と会談し、対応を協議。会談後、宮内氏は野鳥がウイルスを運んで感染した可能性を示し、「全国でも類似のことが起こる可能性がある」と記者団に語った。

 香川県での発生を受け、福岡県は今月5日、県内に約150ある養鶏場に防疫対策の徹底を呼びかけた。感染が発生した養鶏場でも防鳥ネットの設置や農場への出入り口での消毒について検査で確認していた。県の担当者は「どうすれば防げたか、感染経路や対策の検証が必要だ」と話す。(山田佳奈、枝松佑樹)

 「初動で封じ込めることが何より大事だ」。鳥インフルエンザの発生を受け、福岡県が25日早朝に開いた記者会見。小川洋知事は繰り返し強調した。

 県は、鶏の大量死の一報が入った24日午後から鳥インフルの発生を念頭に警戒態勢をとり、農林水産省と対応を協議した。25日明け方にH5亜型の感染がわかると、40分後には各部長らを集めた対策本部会議を開催。鶏の殺処分や移動制限などの防疫措置をとることを確認し、養鶏場近くで約2時間前から待機していた職員に着手を指示した。

 県幹部は「養鶏場が異変にすぐ気づいて通報してくれたから、早期に対応できた」と話す。現場となった養鶏場につながる道は、25日午前から通行が規制された。出入りする車両を白い防護服を着た職員らが消毒し、埋却作業にあたるとみられるショベルカーが運び込まれた。

 近くに住む男性(68)は、その様子を見守っていた。「野鳥が多く飛ぶ場所。鶏舎に入り込んだのだろうか」。別の男性(69)は「このあたりで出るなんて、びっくりした」と話した。

 周辺の養鶏農家らは警戒を強める。宗像市内の養鶏場関係者は、今月初めに香川県で鳥インフルの発生が確認されてから、消毒用の消石灰をまくなど防疫に力を入れてきたという。「できる限りのことをやるしかない」。市内の養鶏場で採れた卵を販売する店には、「食べても大丈夫か」との問い合わせが客から相次ぐ。店を経営する女性は「収束を祈るばかりです」と語った。

 宮崎大農学部の末吉益雄教授(家畜衛生学)は、鳥インフルが11月に相次いで確認されるのは「まれな例」と指摘する。鳥インフルは一般的に渡り鳥を介して広がると考えられているが、渡り鳥が国内に飛来するピークの年末前後よりも、今回の感染の確認時期が早いためだ。

 末吉教授によると、鳥インフルは過去の研究などから、ウイルスを国外から持ち込んだ渡り鳥から感染した野鳥をイタチなどの野生動物が食べ、養鶏場に侵入して感染が広がると考えられている。対策として、養鶏場の卵やフンを取り出す搬出口をふさぎ、野生動物が隠れる林の伐採などが挙げられる。末吉教授は「対策は例年より早めに、強化徹底してほしい」と呼びかけている。