八代市長「知事と一緒にやっていくしかない」

聞き手・村上伸一
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八代市長 中村 博生さん(62)

 ――2008年に蒲島郁夫知事が川辺川ダム計画の「白紙撤回」を表明した時と、その2年後に荒瀬ダム(八代市坂本町)の撤去方針を決めた時は、いずれも県議(自民)でした。当時はどう受け止めましたか。

 「川辺川ダムの白紙撤回は、ほとんど衝撃的だったんじゃないでしょうか。ただ、知事が重い決断をその時もされたわけで、県議会としても『ダムによらない治水』を進めんといかんという流れでした」

 ――荒瀬ダムの撤去に対するご自身の賛否はどうでしたか。

 「荒瀬ダムは利水で役に立っていた面もあり、下流で農業用水を引いていました。八代市内の土地改良区の理事長もしていたので、撤去には反対でした」

 ――荒瀬ダムがあったら、坂本地域で今年7月の豪雨による氾濫(はんらん)はなかったと思いますか。

 「専門家ではないからわからないが、荒瀬ダムがあったらあんな氾濫はなかったんじゃないか、という思いを持つ方はいるんじゃないか」

 ――上流の瀬戸石ダム(芦北町、球磨村)では豪雨時に大量の水が一気に流され、周辺と下流域の被害が増えたとの指摘があります。

 「瀬戸石ダムに反対する人たちがそうおっしゃるのかもしれないが、私はそう思っていません。ちょっとは(氾濫に対する)壁になってくれたんじゃないか。自分なりの検証はできませんが」

 ――蒲島知事は治水方針を転換し、川辺川への「流水型」ダム建設を国に求めました。市長は「強い支持」を表明しました。

 「穴あきダム(流水型ダム)は環境、清流を守る一つの手段かと思います」

 ――公共事業を増やせるという観点は。

 「それはないです。ダムは特殊で、建設業界すべてが潤うわけじゃない」

 ――命を守るためと。

 「ええ。(豪雨災害で)生命、財産を失われた人が多いですから、それを守るために治水対策もぴしゃっとしていかないといけない」

 ――市長として、川辺川へのダム建設に反対する人たちとどう向き合っていきますか。

 「話をするしかないじゃないですか。知事は(流水型ダムは)環境に配慮し、治水もできると判断されたんだろうし、知事と一緒になってやっていくしかないと思います。反対のみなさんの思いをどれだけ組み込めるかは、やってみないとわかりません」(聞き手・村上伸一)

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 なかむら・ひろお 1958年生まれ。県議などを経て2013年から市長。現在2期目。