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 かつて広島カープの本拠地があった「旧市民球場跡地」(広島市中区)。球場の閉鎖から10年がたち、市はイベント広場として整備するため民間事業者の公募をようやく始める。跡地に残されてきた球場の「ライトスタンド」の活用についても方針が決まった。

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 19日の広島市議会の都市活性化対策特別委員会で、市は旧市民球場跡地と周辺一帯(4・6ヘクタール)の整備について、事業の概要や条件などを示した「公募設置等指針」の素案を明らかにした。スケートボードなど都市型スポーツの国際大会やグルメフェスなどが開かれるイベント広場の整備▽飲食店などが入る収益施設の建設▽民間事業者が整備から管理・運営までを担う「パークPFI」制度を活用――などが柱だ。屋根付きのオープンスペースや、北側に新たに建設されるサッカースタジアムへの連絡路も設ける。

 事業費は12億~13億円で、1割を民間事業者が負担し、残りの半分を国の補助金で賄う。市は来年3月に公募を開始し、7月ごろに事業者を選定。2022年度中のオープンを目指している。

 広島カープが本拠地をマツダスタジアム(広島市南区)に移したのは09年。翌年に旧市民球場は閉鎖され、市は跡地活用の検討を始めた。その後、サンフレッチェ広島の新たな本拠となるサッカースタジアムの候補地として浮上したが、19年になって跡地北側の「中央公園広場」で決着。これを受け今年3月、旧市民球場の閉鎖から10年を経て、イベント広場としての整備が決まった。

 既存の商店街などとの関係が課題の一つだ。近隣では、市などが出資する第三セクターで来年に開業20年を迎える紙屋町地下街「シャレオ」(広島市中区)がテナント収入の不振に陥っている。新たに飲食店ができれば客の奪い合いになるとの懸念は根強く、19日の特別委員会でも「既存の施設が衰退したら放置し、新しい施設を作ろうとしている」と批判が相次いだ。

 市都心空間づくり担当の松尾雄三課長は「周辺の飲食店にも利益が得られる『ウィンウィン』の関係にしたい。関係者への説明の場も設ける」とするが、具体的な経済効果の算出などはしていないという。

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 旧市民球場跡地の整備にともない、広島市は、球場解体後も跡地に残されてきたライトスタンドについても一部を移設する。移設先は、広島カープの優勝を刻んだ記念碑などがある跡地前庭の「勝鯉(しょうり)の森」だ。

 旧市民球場の閉鎖でライトスタンドも解体が予定されていたが、カープ私設応援団の活動の場だったことから多くのファンが保存を強く要望。市は暫定措置として、スタンドだけを残して球場を解体した。その後も市は解体を提案してきたが、ファンの理解は得られず、一部を残す方針に転換した。

 ライトスタンドは幅35メートル、奥行き20メートルの階段状で、このうち幅8メートルのベンチ3段分のみを移設する。旧市民球場の歴史を伝える説明板や南側の相生通りに通じる歩道も整備する計画だ。創設当時からのカープファンで、勝鯉の森にボランティアで清掃に来ていた80代男性は「カープの歴史が詰まったスタンド。一部でも残るのはうれしい」と話した。(比嘉展玖)

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