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 【鳥取】入選作「焼締窯変壺(やきしめようへんつぼ)」は釉薬(ゆうやく)を使わず、土と炎が持つ力強さで作られている。表面には地元の星空をイメージした斑点模様がちりばめられ、「面取り」の技法で角を出して作品の緊張感や品格を引き出した。代々受け継いできた伝統の技と、細やかな独自の表現が光る逸品だ。

 日本伝統工芸展には30歳の頃からチャレンジし続けてきた。初入選に「ほっとした」とほほえむ。作品作りでは、土選びから成形、3度にわたる焼き上げまですべて1人で行う。「土に含まれる鉄分と炎が化学反応を起こし、色合いや模様が変わっていく。自然と格闘する感じが楽しい」。より深みのある表現を追い求め、土の配合や窯の中での配置を何度も変えながら試作を繰り返した。

 明治時代に起源を持つ「国造焼(こくぞうやき)」(鳥取県倉吉市)の窯元に生まれた。根っからのサッカー少年として育ち、高校まで部活に熱中。土に触れることはほとんどなかった。県外の映画学校で脚本を学んだ後、家業を手伝うために20歳で実家に戻った。シンプルな湯飲みを作り続けるうちに、指名注文を受けるようになると、だんだん陶芸に傾倒していったという。

 現在、4代目として1日12時間ほど作業場で過ごしている。展示会が続く忙しい時期でも、毎日土に触れることを欠かさない。それでも、「時間が足りない」と山本さん。「これからも入選し続けることが大きな目標。山陰の陶芸を広めていく活動もしたい」。飽くなき探究心が日々の原動力になっている。(宮城奈々)

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