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 白と紫の触手をただよわせた姿が、海に咲く美しい花のように見える。千葉県立中央博物館分館海の博物館(同県勝浦市)の柳研介・主任上席研究員によると、これは刺胞動物に属するムラサキハナギンチャクという生きものだ。触手を開いた大きさは、両手ほどから50センチ超くらいまでになる。

拡大する写真・図版海底で触手を揺らすムラサキハナギンチャク。第36回「日本の自然」写真コンテスト(全日本写真連盟など主催)の入選作=谷口常雄さん撮影

 同じ刺胞動物だが、岩などに付着して暮らすイソギンチャクの仲間とは異なり、海底の砂の中に棲管(せいかん)という構造物をつくってすみつく。海中のプランクトンを主な餌とし、時にはクラゲ類を捕食することもある。逆に外敵から襲われた時は、白い筒状の体を棲管の中にすばやく引っ込めて、身を守るそうだ。

 この写真を静岡県の西伊豆に位置する大瀬崎で撮影したのは谷口常雄さん(66)。水深10メートル付近に並んだ3個体の背後に、太陽と泳ぐミノカサゴを入れながら、妖しく艶(あで)やかな作品に仕上げた。(米山正寛)