カイロ=北川学
拡大するイスラエル政府のアラビア語フェイスブックページに転載された写真。右側がムハンマド・ラマダンさん=AFP時事
エジプトの人気俳優がイスラエルの歌手らと撮った写真がインターネット上に広がり、エジプトで物議を醸している。両国の国交樹立から41年が過ぎたが、エジプト国民の対イスラエル感情は悪いまま。「国民感情を害した」などと俳優への非難が殺到し、犯罪として告発する動きも出ている。「冷たい平和」と呼ばれる関係が如実に表れている。
渦中の俳優はムハンマド・ラマダンさん。地元紙によると、アラブ首長国連邦(UAE)を訪れた際、イスラエルの人気歌手やサッカー選手との写真撮影に応じた。地元記者がその写真をネットに投稿。21日、イスラエル政府がアラビア語で発信するフェイスブックのページに転載され、騒ぎが広がった。
拡大するイスラエル政府のアラビア語フェイスブックページに転載された写真。中央がムハンマド・ラマダンさん=AFP時事
ラマダンさんは、約1500万人が登録する自身のフェイスブックのページで、「相手の国籍は知らなかった。知っていたら撮影には応じなかった」と弁明したが、「恥を知れ」「謝れ」といった非難の書き込みが相次いだ。「エジプト人の感情を害した」として告発した弁護士もいる。芸能人でつくる団体もラマダンさんを除名した。
エジプトは第1次~第4次中東戦争でイスラエルと戦い、1979年にアラブ諸国として初めて国交を樹立。今年9月、UAEとバーレーンがイスラエルとの国交樹立に合意した際も歓迎したが、国民感情は異なる。外国の好感度を100点~マイナス100点の範囲で尋ねた2015年の世論調査によると、イスラエルはマイナス88点。対象26カ国の中で最も低かった。(カイロ=北川学)
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朝日新聞国際報道部