シリア北部テルアビヤド ドバイ=伊藤喜之
シリアで昨年10月、少数民族クルド人の武装組織「人民防衛隊」(YPG)を掃討するため、隣国トルコが越境して軍事作戦を展開した。1年が過ぎて街には日常が戻りつつあるが、家を追われ、今なお帰れない人たちもいる。トルコ軍の駐留が続くシリア北部テルアビヤドに記者が入った。
トルコ南部アクチャカレからトルコ軍の装甲車で国境を越えると、車内で兵士がモニターを凝視し始めた。映し出されるのは、車上のカメラで撮影している周囲の映像。操作機を小刻みに動かすと、通行人の顔や民家の窓、トラックの荷台が大写しになった。カメラが映す方向には、車載の機関銃の銃口が向けられている。取材に同行した上官は、「1カ月前にも攻撃を受けた。いつでも対応できるよう、常に気を引き締めている」と話す。
警戒するのは、昨年10月9日からの作戦で掃討したYPGだ。トルコは、YPGをトルコからの分離独立を目指す非合法武装組織「クルディスタン労働者党」(PKK)と一体のテロ組織とみなす。シリア内戦の混乱に乗じ、YPGはトルコとの国境沿いに支配地域を拡大。危機感を募らせたトルコは、2018年1月に続く越境攻撃に動いた。
テルアビヤド周辺では、作戦後も自動車爆弾などによる爆発が続く。在英の反体制派NGO「シリア人権監視団」などによると、今年7月には子供3人を含む6人、8月には少なくとも3人が犠牲になった。トルコメディアは、YPGによる犯行の可能性を示唆。街で靴店を経営するムスタファ・マクスードさん(45)は、「私たちはまだ爆発におびえている」と話した。
「声!」「聞く!」。約380…
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朝日新聞国際報道部