拡大する写真・図版2つのアメリカ 見えない境界のある街から

[PR]
連載「2つのアメリカ 見えない境界のある街から」
かつてないほど分断が進むアメリカは、どこへ向かうのか。大統領選挙の激戦州ペンシルベニア州の街ヨークで、「2つのアメリカ」の境界線上にある場所を見つけた。この地に住みながら、アメリカ社会の今を伝えるルポの最終回です。(敬称略)

 バイデン勝利をメディアが一斉に報じた11月7日、三つの街の様子は対照的だった。

 激戦州ペンシルベニア州の州都ハリスバーグでは、バイデンの勝利を祝う人々と、不正があったと主張するトランプ支持者が州議会の建物前で向き合い、互いの声をかき消そうとするかのように声を上げていた。

 民主党支持者が圧倒的に多い首都ワシントンDCでは、大勢の人々が公園や路上に繰り出して喜び合い、祝福をする車のクラクションが鳴り響いた。

拡大する写真・図版ホワイトハウス前の通りに集まり、バイデン氏の勝利を祝う人々=2020年11月7日、ワシントン、大島隆撮影

 そしてヨーク市の中心部は、いつもと変わらず人影が少なく、静かだった。

 「やっぱり投票しなかったの?」

 「ああ、しなかったよ。トランプは論外だけど、バイデンやハリスも、自分たちを代表しているとは思えないんだ」

 選挙が終わった後、同じ家に住むハウスメートの黒人大学生アンドリューと交わした会話だ。社会問題に関心が高いアンドリューだが「共和党も民主党も支持しない。いまの二大政党システムは機能していない」と公言していた。

 ヨーク市ではアンドリューのように、「投票しない」という選択をした有権者が最も多かった。

 前回よりも5ポイント以上増えたと推定されている今回の投票率だが、ヨーク市の投票者数は今回が1万3306人(11月20日現在の暫定結果)、前回が1万3302人で、ほぼ横ばいだ。前回同様、投票率が50%を下回るのは確実だ。

マイノリティーは「含まれていない」

 低投票率はヨーク市の長年の課題で、選挙前には様々な市民団体が投票を呼びかける活動をしていた。その一人で、黒人コミュニティーのために活動を続けるフェリシア・デニスに、なぜ投票しない人が多いのか聞いてみたことがある。

拡大する写真・図版交差点を行き交う車に投票を呼びかける人々=2020年10月10日、ペンシルベニア州ヨーク、大島隆撮影

 「私たちマイノリティーは『含まれていない(not included)』と感じるときがあります。特に若者には、一票を投じても何も変わらないという思いがある。けれど、参加しなければいつまでも『含まれない』ままです」

 「含まれていないというのは、何に?」

 フェリシアは少し考えてからい…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら