ワシントン=大部俊哉
米大統領選で再選を目指した、共和党のトランプ大統領の敗北が確実になった。現職大統領で選挙に負けたのはこれまで10人しかおらず、過去100年では4人だ。ここに加わるトランプ氏の歴史的な評価はどうなるのか。
「トランプ氏は、1932年の大統領選で敗れたフーバー氏のように不適格で、米国史上、最も成功しなかった大統領の一人だ」と語るのは、ノーザンイリノイ大のウィリアム・アドラー准教授(米国政治)だ。
米国の大統領選では現職が有利とされ、再選に失敗するのはむしろ例外だ。再選できなかった大統領の中でも、特に歴史的評価が厳しいのは、共和党のフーバー氏だ。
就任した29年、株式市場の暴落を端に世界経済は大恐慌に突入したが、フーバー氏は経済を市場原理に任せるという古典的な政策を貫き、景気をさらに冷え込ませた。32年の大統領選でも「恐慌が終わろうとしている」と主張し続けたが、ニューディール政策や社会保障の充実を掲げた民主党のフランクリン・ルーズベルト氏に大敗した。アドラー氏は、今年の大統領選で新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、「峠を越しつつある」と言い張ったトランプ氏との共通性を指摘する。
アドラー氏はまた、トランプ氏の在任中は可決された法案が少なく、オバマ前政権が作った「医療保険制度改革(オバマケア)」の見直し指示や、新型コロナ対策での失業給付の上乗せ継続など、多くの政策を大統領令で行ったことを特徴として挙げる。「次の大統領が簡単に取り消すことができる」ため、後世に残る実績が少ないという。
米メディアでも、フーバー氏とトランプ氏を比較する報道が多い。ワシントン・ポストは9日の記事で、フーバー氏が選挙での敗北から任期が終了するまでの間もニューディール政策を批判し、これを放棄するようルーズベルト氏を説得し続けたことを紹介。この間に失業率が上がり、経済の悪化がさらに進んだことを踏まえ、今回の政権移行について「33年以来、最も論争の的になるだろう」と報じた。
後半ではフーバー氏後の、フォード氏、カーター氏、ブッシュ氏(父)について振り返ります。19世紀には選挙に敗れた現職のうち、後に大統領に返り咲いた人もいました。
フーバー氏より後に、現職で選…
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朝日新聞国際報道部