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 日本政府が中国湖北省武漢市への在外公館設置を中国政府に打診したことが分かった。近年の在留邦人の増加に加え、今年のコロナ禍で必要性を認める声が強まった。中国側も検討を始めており、24日の日中外相会談でも議論されたとみられる。

 複数の日中外交筋が明らかにした。武漢は華中地方の中心都市で交通の要衝として発展し、中国有数の自動車産業都市でもある。現在、米国、英国、韓国、フランスが総領事館を置いている。

 日本からはホンダや日産など150社以上が進出し、コロナ禍以前は約700人の邦人が在住していた。在外公館設置の要望は早くから出ていたが、今夏に武漢日本商工会が日本政府に改めて要望。政府は10月までに中国側に正式に打診し、候補地選定のため日本大使館関係者が現地に入ったという。

 新型コロナの感染拡大で武漢は1月に都市封鎖され、日本政府はチャーター機による邦人救出を実施したが、現地拠点がないため北京から大使館員が車で駆けつけて対応した。日本政府関係者は「大使館や総領事館がある北京や上海、重慶から遠く、邦人保護の観点からも問題だ」と話す。

 武漢はハイテク産業の発展がめざましく、中国の成長分野へのアクセスを容易にする狙いもある。設置には受け入れ国の同意が必要で、実現には2年ほどかかる見通し。日中外相会談では来年の適切な時期に公館に関する協議を行うことで一致しており、双方の意向をすり合わせていく模様だ。(北京=冨名腰隆)