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 陸上配備型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策について、防衛省は外部委託していた調査の中間報告を発表した。陸上イージスの装備を洋上に転用するのは技術的に可能として、政府が検討する艦船新造に向け「お墨付き」を与える内容だった。これを受けて防衛省は年末に代替策の方向性を示す方針だが、安全保障論が専門の小谷哲男・明海大教授は「なぜ陸上イージスの装備にこだわるのか」と異論を唱える。どういうことなのか、話を聞いてみた。(聞き手・北見英城)

 ――防衛省が陸上イージス代替策をめぐる中間報告の概要を発表しました。

 小谷氏 米ロッキード・マーチン社製の「SPY7」を搭載した新型イージス艦を新造する、という結論ありきの調査だと思いました。「見えないコスト」もあるとみられ、納税者である国民が納得できる内容と言えるかどうかは疑問です。

 ――イージス艦型の導入費用は、1隻あたり「2400億~2500億円以上」という試算結果も示されました。

 小谷氏 「SPY7」をイージス艦に搭載した例はなく、日本独自の特注品となります。部品も特注となるので、長期的なメンテナンスまで含めれば、どこまでコストが膨らむのか分かりません。ソフトウェアの改修も必要になるでしょう。

 ――そもそも陸上イージスに、米レイセオン社製のレーダー「SPY6」ではなく、よりコストのかかる「SPY7」を使うことになったのはなぜでしょうか。

 小谷氏 多くの専門家は、将来的な米軍との相互運用性を考えても、米海軍が次期イージス艦に搭載予定の「SPY6」が妥当と考えていました。しかし、選ばれたのは「SPY7」でした。これまでの防衛省の説明は納得できるものではなく、選定の理由は謎のままです。

 (米国製品を購入するよう求める「バイ・アメリカン」の圧力が強い)トランプ政権を相手にするうえでは、ロッキード・マーチン社に多額のお金を落とす意味もあったでしょう。しかし、バイデン次期大統領に近い人からは「(米軍との相互運用性が乏しいにもかかわらず)なぜコストの高い選択肢を選ぶのか」と尋ねられることもあります。

 ――陸上イージスが配備断念に至った背景には、防衛省のずさんな調査や根拠の乏しい説明がありました。代替策の決定に向けた同省の説明姿勢をどう評価していますか?

 小谷氏 他の選択肢ではなぜダ…

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