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 運転中に急病で追突事故を起こした意識不明の男性に心臓マッサージを施し、迅速な救命措置をしたとして、熊本市西消防署が熊本市中央区の男性看護師(26)を表彰した。

 救命救急センター(中央区)に勤める藤原泰志(たいし)さんは8月26日午後5時半過ぎ、勤務先から徒歩で帰宅中に「ガツン」という鈍い音を聞いた。顔を上げると、目の前でワンボックス車がバスに追突していた。急いで駆け寄ると、50代ほどの男性が運転席で意識を失っていた。口から泡を噴き、小刻みに震えている。助手席側のドアを開けて「大丈夫ですか」と肩をたたくも反応はない。手首の脈を測りながら「車の中で人がけいれんしている」と119番通報した。通話中に脈が止まった。頸動脈(けいどうみゃく)もやはり止まっていた。

 とっさに電話を切り、助手席の男性らと協力して、男性を歩道まで引っ張り出し、心臓マッサージを始めた。圧迫を続けたが、脈は戻らないまま時間が過ぎていった。通報から5分後、救急車が到着。見送ってからも、男性の容体が心配でならなかった。翌日、勤務先の病院に搬送され蘇生も成功したと同僚から聞かされ、ホッと胸をなで下ろした。急性心筋梗塞(こうそく)だった。

 男性は10月に退院。その直前、藤原さんの電話が鳴った。「救われた命に感謝しています」と伝える声。「お元気にされていてよかったです」と返した。

 20日に熊本市西消防署で表彰状が贈られた。心筋梗塞は迅速な対応が社会復帰の可能性を左右する。田中敬士署長は「救急隊の到着前の処置で男性は助かった。救命リレーの第一走者だった」と称賛した。(井岡諒)