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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、収入が減ったり、食事に困ったりするなど、生活に不安を抱える人が増えている。11月に入りクラスター(感染者集団)の発生を受けて感染者は急増し、岩手県内の感染確認は26日午後8時現在で175人に上る。

 「もし自分が感染したら子どもはどうなるのか」

 「会社にもう来なくていいと言われたら生活が立ちゆかない」

 15日、NPO法人「インクルいわて」(盛岡市)が、ひとり親向けの相談ホットラインを開設すると、電話が鳴り続いた。数日前には消防施設や飲食店でクラスターが発生。12月から始める予定だったが感染拡大を受けて前倒しした。

 日中は働いている人も多いため、午後8時から2時間、電話を受け付ける。スタッフを2人増員して計7人で対応。多くの相談に乗れるよう1人30分が目安だが、1時間以上に及ぶこともある。「誰かとつながっているという実感をもってもらうことが最も大切。そうしないと本当に孤立してしまう」。山屋理恵理事長は強調する。

 ひとり親世帯を対象に3月から始めた月1回の食料の無償提供には毎回50~80人が訪れる。中高生の子どもを持つ世帯が目立ち、アンケートでは、収入が減り食費を削らざるをえないという声が目立った。山屋理事長は「このままでは仕事と子育ての両立ができず、ますます追い込まれていく。行政も異常事態だと認識してほしい」と訴える。

 「売り手市場」が続いていた大学生の就職活動は状況が一変した。国によると、企業が正式な内定を出す10月1日時点で来春卒業予定の大学生の就職内定率は69・8%で、5年ぶりに70%を下回った。北海道・東北は64・2%だった。選考過程の長期化や採用規模の縮小が原因という。

 こうした事態を受けて岩手大では、就活の相談会を開いている。「スケジュールが立てられない」「モチベーションが上がらない」。学生からはそんな不安の声も漏れる。学生支援課の担当者は「自分だけで抱え込まないように、窓口の周知に努めたい」と話す。

 岩手大4年の千葉颯記さん(22)は6月中旬に内定を得たが、いつ面接が行われるかも分からない不安な日々が続いた。「なんで今年に限ってという思いはある」と漏らす。

 生活に困窮する世帯への貸し付けも増え、申請数は2008年のリーマン・ショック後を超えている。

 最大10万円を無利子で借りられる緊急小口資金について、国は特例として、3月から新型コロナの影響で収入が減った世帯も対象に加え、最大20万円に増額した。県社会福祉協議会によると、今月15日までに計2960件の申請があり、リーマン・ショックの影響が最も出た10年度(約500件)の6倍近くに上る。

 緊急小口資金でも生活の立て直しが困難な人を対象に1カ月あたり最大20万円を原則3カ月まで貸し出す総合支援資金には、計653件の申請があった。要件が緩和され、昨年度の13件から大幅に増加。県社協の担当者は「仕事はあっても生活が維持できないという人が多い。先の見えない状況が続いている」と話す。

 ただ、コロナ対応としての特例は、12月末で終了する予定。岩手を含む8道県の知事でつくる北海道東北地方知事会は、10月にまとめた提言で制度の延長を国に求めた。県の前川貴美子・指導生保担当課長は「感染拡大によって収入や雇用の回復には時間がかかる恐れがある。しっかりフォローし必要に応じてさらなる支援につなげたい」と話す。(藤谷和広)

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