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 ワシントン条約で国際取引が規制されているタツノオトシゴの一種「クロウミウマ」の繁殖に、志摩マリンランド(三重県志摩市)など国内3水族館が取り組んでいる。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されていて、今後数年をめどに国内の水族館などに供給できる態勢をめざしていく。

 繁殖に取り組んでいるのは、志摩マリンランドと沖縄美ら海水族館(沖縄県本部町)、横浜・八景島シーパラダイス(横浜市)の3水族館。近親交配をできるだけ避けるために、志摩マリンランドと沖縄美ら海水族館は個体の入れ替えなどでも連携している。

 志摩マリンランドは2018年12月、沖縄美ら海水族館から12匹を譲り受け、飼育を始めた。担当の角田正幸さん(35)と柴原雄輔さん(29)は、それぞれペンギンとクラゲが主な担当だったため、当初はかなりのプレッシャーだった。

 角田さんによると、クロウミウマは太平洋やインド洋に幅広く生息する。内湾や汽水域を好み、寿命は3年前後とみられるという。メスがオスの腹にある袋の中に産卵し、2週間程度で孵化(ふか)する。比較的、成長が早く、孵化してから半年ほどで産卵する。

 メスは1回あたり500個以上産卵するが、これまでの飼育記録では、孵化から4、5日で大量に死んでしまい、1カ月以上生き延びるのは1、2%程度だった。今月3日にも596匹が孵化したが、19日現在で生き残っているのは12匹しかいない。

 とはいえ、15回の孵化を重ね、現在は約140匹まで増えた。志摩マリンランドの個体は近くの海で採集した栄養価が高いイサザアミを食べて育つため、ほかの2館のものと比べて成長がやや早めだという。角田さんは「沖縄の個体は栄養をわざわざ添加したオキアミを食べている。えさの状態が左右しているのかもしれない」と分析する。

 志摩マリンランドで飼育しているタツノオトシゴの一種「ポットベリーシーホース」は、孵化した個体の生存率が7、8%と高い。今後は飼育環境の情報を2館と共有するとともに、幼少期のえさを見直したり、水槽の大きさを変えたりするなどして生存率を高めたい考えだ。角田さんは「ポットベリーシーホース並みの生存率になれば、国内の水族館に供給できる道筋が見えてくる」と話す。(安田琢典)

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