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 沖縄県名護市辺野古の海を埋め立てる米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設計画を巡り、県が国を訴えた訴訟の判決が27日、那覇地裁であった。埋め立て予定の海で軟弱地盤が見つかり、県が埋め立て承認を撤回したことの正当性が、国と県が争う訴訟で初めて問われたが、山口和宏裁判長は判断は示さず、県の訴えは「県自体の利益救済などを求める内容ではなく、裁判の対象にはならない」として却下した。

 移設計画を巡っては、仲井真弘多元知事が2013年に埋め立てを承認した後、国のボーリング調査で軟弱地盤が発覚。これを踏まえ、翁長雄志前知事の死去直後の18年8月、県が承認を撤回した。これに対し事業主体の防衛省は行政不服審査法に基づき、埋め立て関連事業を所管する国土交通相に救済を求め、国交相は19年4月、軟弱地盤が見つかっても工事を行うことは可能として、県の撤回を取り消す裁決を下した。

 この裁決について、県は19年7月と8月に二つの訴訟を起こした。一つ目は、防衛省や国土交通相による手続きが違法だと訴えたもので今年3月、最高裁が適法と結論づけた。今回の訴訟は、撤回を取り消した判断そのものが間違っているとして、裁決の取り消しを求めたもの。

 県側は、県による埋め立て承認の撤回は、埋め立て承認時に明らかになっていなかった事実が判明したことを踏まえた正当なもので、撤回を取り消した国交相の裁決は違法だと主張。国側は、撤回の内容の是非については触れず、県の訴えはそもそも訴訟の対象にならず、却下されるべきだと反論していた。

 移設計画をめぐって県と国が争う訴訟は、今回の判決があった訴訟以外に8件あり、3件は和解に伴い国と県がそれぞれ取り下げ、1件は訴えの前提が変わったため県が取り下げ、3件は県側の敗訴が確定した。もう1件は辺野古沖のサンゴ移植の許可をめぐって玉城デニー知事が今年7月に新たに提訴した。一方、国交相の裁決に関して、埋め立て予定地周辺の住民も取り消しを求める訴訟を起こし、那覇地裁で争われている。(岡田将平)