[PR]

 この十数文字に込められた意味を、私たちは決して容認できない――。夫婦以外の第三者から卵子や精子の提供を受けて生まれた子どもの親子関係を民法の特例で定める生殖補助医療の法案をめぐり、日本障害者協議会の藤井克徳代表は27日、会見で語り、法案の一部削除を求めた。「新しい差別の始まり」になりかねないと指摘するその十数文字とは。

 法案は、第三者からの卵子提供による不妊治療で子どもが生まれた場合、出産した女性を母親とすること、夫以外の男性の精子による不妊治療で妻が妊娠した場合、精子提供に同意した夫を父親とすることが軸だ。

 問題になっているのは、法案の基本理念として書かれた「生殖補助医療により生まれる子については、心身ともに健やかに生まれ、かつ、育つことができるよう必要な配慮がなされるものとする」という部分。

「心身ともに健やかに生まれ」という言葉の意味するもの

 特に「心身ともに健やかに生まれ」という文言について、藤井氏は「不良な子孫の出生防止」を掲げた旧優生保護法のもと、遺伝性の病気や知的障害などがある人に強制的に不妊手術が行われた問題につながりかねないと指摘した。法案に反対する議員も「障害児は産まなくて良い、と法案が言っているようなものだ」と語る。

 藤井氏はさらに「『お子さん元気で良かったですね』と言うのは社会的な通念としてはある。しかし、法律に入った瞬間に優生政策の域に入ってしまう」とし、一般的な会話で「心身ともに健やかに生まれ」という言葉を用いるのと、法案に盛り込むのとでは意味が違うと指摘した。

 近年、採血だけでおなかの赤ちゃんのダウン症などの可能性がわかる「新型出生前診断」や、体外受精した受精卵の遺伝子や染色体を調べる「着床前診断」なども広がりつつある。

 藤井氏は「後から振り返って、あのときが新しい差別の始まり、と言わせてはいけない」とも語った。

修正せず法案成立の見通し

 自民、公明、立憲民主・社民、維新、国民民主の各会派が提出し、採決では、共産と無所属の会派、沖縄の風が反対した。すでに参院で可決し、来週にも衆院で可決、成立する見通し。

 法案を提出した政党の議員は、「1カ月前なら議論できたが、参院も通過しており、(修正は)難しい。この文言は他の法律にも入っている」と語り、修正の必要はないとの認識を示した。(三輪さち子、小泉浩樹