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 供述調書などの証拠を紙でなく、電子データで渡すべきだ――。検察が証拠資料を弁護側に開示する手続きのデジタル化を求め、全国の弁護士らが署名活動を始めた。コピー費が多額になるため証拠の入手を控える事例もあり、「弁護活動の妨げになっている」などと訴えている。約6千人が賛同しており、政府に近く要望書を提出する。

 証拠開示は、裁判員裁判など公判前整理手続きがある一部事件で2004年に制度化され、ほかの事件は検察官が裁量で開示している。弁護側は、開示された捜査報告書や調書などをもとに弁護方針を検討する。

 ただ検察側は、こうした書類はコピーした紙でしか渡していない。コピーは主に業者が行い、費用はおよそモノクロ1枚40円、カラー1枚80円。国選弁護人がつく否認事件や重大事件は税金で賄われ、私選弁護人の場合は被告が全額自己負担。600万円以上かかったケースもあり、必要な証拠の入手を「自粛」してしまうこともあるという。

 このため、刑事弁護を専門とする東京の高野隆弁護士や大阪の後藤貞人弁護士が中心となり、今月10日に「証拠開示のデジタル化を実現する会」を設立した。問題点をまとめた要望書と署名をデジタル政策を担う河野太郎・行政改革担当相や上川陽子法相らに渡す。

 要望書では「膨大な資料を紙で入手すると、弁護の検討効率が悪く訴訟準備に時間もかかる。弁護活動の質が低下してしまう」と指摘。コピーにかかる年間1億円超の税金は、「デジタル化すれば不要だ」とした。米国や英国、台湾やシンガポールなどではデジタル化が進んでいるという。

 詳細は同会ホームページ(https://www.change-discovery.org/別ウインドウで開きます)で。(阿部峻介)