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 豪農の屋敷だった空き家がゲストハウスとしてよみがえる。2層うだつの町並みで知られる徳島県つるぎ町貞光にあり、所有者に地元の若手事業者が運営協力する。半田そうめんなど特産品を宿泊者らに味わってもらい、藍染めの体験もできるようにするという。

 屋敷は木造2階建て延べ約300平方メートルで、1927(昭和2)年に建てられた。町並みの中でも目立つ邸宅で、松やツツジが植えられた庭もある。

 所有者の投資顧問会社社長、折目尚也さん(62)=東京都新宿区=は、3歳ごろまでこの家で育った。その後も祖母が暮らし、7年ほど前まで亡くなった母親も住んでいたので、年末年始やお盆には毎年帰省していたという。

 母が生前、「おまえたちが一人前になれたのはご先祖様のおかげ」と口癖のようにいっていたのを思い出し、ゲストハウスとしての活用を思い立った。「太く曲がった梁(はり)など、今この屋敷を壊してしまうと作り直すことは簡単ではない。古いものを大事にしたい」と話す。

 ゲストハウスに全面改装するのは2階の3部屋。トイレなども新設し、各部屋にツインベッドを置くなどして2~3人ずつが泊まれるようにする。運営は近隣のゲストハウス経営者が協力を予定する。

 1階は座敷を残し、宿泊者のロビーなどとして活用してもらう。台所も改装し、町内の半田そうめん製造・販売者が食堂を開く。母屋の隣に建つ蔵では県内の工房が、宿泊者に藍染めを体験してもらえるようにする。

 すでに工事は始まっており、瓦のふき替えや、ガラスのない窓にサッシを付けるなど大規模なリフォームになるため、費用は数千万円かかるとみられる。来年5月末に完成し、6月の営業開始を目指すという。

 折目さんは「コロナ禍が終わればインバウンドも復活する。剣山の登山客が、帰りに藍染めを楽しんだり、半田そうめんを味わったり、のんびり過ごしてもらえれば」と話している。(福家司)

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