[PR]

 新型コロナウイルスの国内感染が「第3波」とも言われる急拡大を見せ、クラスター(感染者集団)も各地で相次いでいる。特に重症化リスクの高い高齢者を抱える施設は警戒を強める。今夏、入所者への感染が広がった東京の介護施設の施設長が、「教訓にしてほしい」と経験を語った。(木村浩之)

 厄よけの寺として知られる西新井大師にほど近い、東京都足立区の住宅街の一角。老健施設「水野介護老人保健施設」の1階ロビーで10月末、入所者の家族がパソコンと向かい合っていた。約210人の入所者が過ごす2階以上は家族を含めて今も立ち入り禁止だ。家族は画面越しに「オンライン面会」をしていた。

 3カ月ほど前、それは突然やってきた。都内が感染の「第2波」に見舞われていた8月16日。入所していた80代の女性に熱が出た。3日後には肺炎の症状もみられ、同月20日に抗原検査を受けると感染が判明。女性はすぐに入院した。

 「まさか」。施設の常勤医師でもある施設長の岡田正彦さん(74)はすぐには信じられなかった。

 施設は当時も面会を禁止していた。職員は出勤時に検温し、勤務中はマスクや手袋を常に着用していた。家族以外との飲み会や外食を控えるといった注意事項を職員に周知し、同意の署名までもらうなど、対策は徹底したつもりだった。

 しかし、女性の居室がある4階の入所者や、この階で働く職員に次々と感染が拡大。結局、9月8日までの3週間で入所者18人と職員4人の計22人の感染が確認された。「いつ終わるのか」。不安と緊張の日々が続いた。

 保健所の調べでも、感染経路は特定できなかった。ただ、感染者たちは同じ食卓や近くで食事をしていた。食事の際はマスクを外し、入所者同士や職員との距離が近くなりやすい。職員や入所者の行き来もあり、感染者は4階の北東の区画と、約40メートルの廊下でつながる中央の区画の2カ所で確認された。

 対策として重視したのが、食事の際の「密」を避けることだ。以前は職員1人が一度に複数の人を介助していたが、1対1に改め、別の人を介助する前には毎回手袋を替えた。職員食堂でも、1卓に座る人数を制限し、大声を出して会話することも控えさせた。

 入所者や職員の移動も制限した。4階にはバリケード代わりに、廊下2カ所にベッドやイスなどを置いて入所者の行き来を減らし、職員も各区画の専従にした。別の階に移るときには必ず靴の底を消毒させた。

 最初の感染判明時、4階の入所者と職員計約90人がすぐにPCR検査を受けることができ、感染者を隔離できたことも、感染拡大を鈍らせたとみている。

 だが、対策を強めるほど職員の…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。

2種類有料会員記事会員記事の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら