[PR]

 広島県警三次署は26日、三次市三次町の専法寺保育園で不審者訓練を実施した。園児に近づく不審者役の男性を制止するため駆けつけたのは、1台のパトカーと白バイ。1300ccの大型バイクに乗って登場したのは身長157センチの女性警察官だった。

 三次署交通課の江盛史野巡査長(29)は、先月、県北初の女性白バイ隊員になったばかり。この日はデビューイベントだった。警察官になって5年目。5回目の審査で夢をかなえた。

 白バイ隊員を目指したのは「悪質な違反者を取り締まり、交通事故を減らす活動に携わりたいから」。大学時代、ソフトボール部で一緒に活動していた三つ下の後輩を交通事故で亡くした。朝の部活に現れなかった後輩は、自転車に乗っていたところ車にはねられた。「元気で戻ってきてほしい」という願いはかなわず、事故後、一度も顔を見ることなく、1週間後に亡くなった。

 2年間の会社勤めを経て警察官に。高校時代の後輩が県警の交通機動隊で白バイに乗っていることもあり、白バイ隊員を志した。「機動力のある白バイなら、パトカーが入れないところや車の合間をぬって取り締まりできる」。危険も伴うが、交通違反者に接近して指導ができる。

 白バイ隊員になるためには、大型自動二輪の免許を取得して約3週間の訓練を受ける。その後、パイロンの間をジグザグに走ったり、幅約30センチの板の上を低速で走行したりするなどの厳しい審査に合格しなければならない。

 「最初は怖いしかなかった」。一度転ぶと300キロを超える車体を自力で起こさなければならない。審査の前には週2回ほど、時には休日も返上して、広島市佐伯区の免許センターで練習を重ねてきた。

 9月の審査に合格すると、三次署でも「おめでとう」と祝福された。署にいた男性白バイ隊員が4月で異動したため、署には白バイ隊員がいなかった。同署の松原弘昌交通課長は「(江盛さんが)合格したことで、管内でも事故の抑止力が高い白バイが走るようになる」と喜んだ。

 審査に合格しても「まだ半人前」。1人で取り締まりをするにはさらに訓練が必要だと気を引き締める。

 「公道を走ると視線も感じ、緊張感がある。早く一人前になって少しでも事故を減らすよう取り締まりをしていきたい」(三宅梨紗子)

     ◇

 広島県警には今年4月現在、約530人の女性警察官がいる。全体の10・1%。5年前は8・0%で、県警は2022年までに1割超とする目標を掲げていた。17年には育児などを理由に退職した警察官の再採用制度を始め、これまでにのべ4人が再採用された。

 白バイ隊員も女性が増えている。各警察署に所属し、主に署の管内で任務にあたる女性白バイ隊員は各年4月時点で15~17年に1人、18~19年に2人だったが、現在は5人いる。

 交通機動隊の松原啓文副隊長は「性別に関わらず努力して自分のやりたい仕事ができるのは素晴らしいこと。江盛さんをはじめ、白バイの交通事故抑止に期待している」と話した。