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 岐阜市の山下博之さん(64)は今年初め、父の墓前でこう報告した。

 「お父さんとの約束、やっと守れました。陸上の『先生』と呼ばれました」

 父が亡くなって30年。ようやく伝えることができて、涙があふれた。

 「飛驒高山」の名で知られる岐阜県高山市出身。左官職人の父・市郎さんは文化財の寺社も任される腕利きで、若手職人から「先生」と呼ばれた。

 温厚で口数は少ない父。でも、「将来、どんなことでも先生と呼ばれるようになれよ」と話していた。

 8歳下の弟は小学校の先生になり、父を喜ばせた。

 山下さんも本当は、体育の教師になりたかった。陸上に打ち込み、中学2年生の時は市民陸上大会の200メートル走で優勝した。

 だが、実家の経済事情も考え、工業高校へ進んで建設会社に就職した。

 その後は勤め先の廃業も経験した。今は建築・住宅設備卸会社で働き、工事の現場監督をしている。

 岐阜市の三輪中学校の陸上部で、18年前から指導に携わっている。長男の入部がきっかけで始めた。

 60歳を過ぎた今も、スパイクを履く。生徒にスタートの姿勢を見せ、走り幅跳びもやってみせる。

 今年1月。新春恒例の約3キロ…

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