[PR]

 コロナ禍だからこそ、ひきこもりの人を支えたい――。当事者たちの集いの場作りを支援する一般社団法人「ひきこもりUX会議」が、コロナ禍で中止となっていた活動を再開させた。「交流の場を絶やさない」という思いが活動の原動力だ。

 「『終わった後の寂しさが半端ない』。そう言った参加者の声が印象的でした」。10月下旬、東京都内で開かれた「ひきこもりUX DAY CAMP」で司会者がそう話すと、参加者たちは大きくうなずいた。ひきこもりの当事者たちが交流し、安心して過ごせる「居場所」をつくるための主催・運営者向けの研修会だ。

 ひきこもりの人たちの居場所は「当事者会」「女子会」などと呼ばれ、全国各地で開かれている。会は入退室自由。終わっても去りがたく、気の合う人たちで立ち話をすることが少なくない。「前回は最後まで座っていられた」「今回は輪の中で発言できた」といった声も寄せられ、居場所の存在が自分のペースで外に出て社会と関わるきっかけになっている。

 今秋以降、各地で徐々に再開されるようになった。オンラインでの開催を余儀なくされていた時期を振り返り、問題点も挙げられた。パソコンやスマートフォンがなくて参加できない人もいるという。そもそも、「顔を合わせて集う」ことに意義を見いだす当事者も多く、コロナ禍でどうしたら対面して会が開けるかも議論になった。

 検温や消毒の設置、ソーシャルディスタンスのとり方、マスクの着用……。マスクを着用すると表情が伝わりにくくなることから、UX会議代表理事の恩田夏絵さんは「緊張を和らげてもらえるよう目いっぱい目尻を下げていたが、限界を感じ、フェースガードにかえた」と話す。また、仮にコロナ感染者が出た場合、参加者と連絡を取る必要がある。「ドタキャンも匿名もオーケー」が居場所の売りだったから、連絡先を聞き出すのは簡単ではない。「電話番号よりはメールアドレスの方がハードルは低い」と恩田さん。完全予約制ではなく、当日記入でも足りると呼びかけた。

 開催場所も、会議室にこだわる必要はないという。ただ歩きながら話す「お散歩女子会」や、「公園の自販機の前で集まり、ジュース1杯飲んで解散」などの実例を挙げ、続けたいと思える環境作りが大切だと説いた。

 研修会には、ひきこもりの経験者で、会の運営に関わろうという人たちも参加した。そのうちの一人の女性(31)は「参加した人が同時に話して、分かる分かると言い合えるのが当事者会の良さ。自分はここにいていいんだと思える。あの空気はオンラインではなかなかつくれない。研修で学んだノウハウを生かして、今に合ったオフラインの居場所を作りたい」と意気込んだ。(川口敦子)

関連ニュース