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 長野県松本市。松本城の周囲の堀は凜(りん)とした景観に欠かせない。国宝の天守を鏡のように映す水辺は、観光客に人気の撮影スポットだ。その堀にたまった泥の除去と水質浄化に松本市が本格的に乗り出す。巻き上げによる悪臭の程度や機械の騒音など、泥の除去作業の実証実験を12月から始める。

 関ケ原の合戦前、1593年に建設が始まったとされる松本城は、内堀、外堀、総堀と、堀を3重にめぐらせた城郭だった。明治期から昭和初期にかけて、総堀の大部分と外堀の半分ほどが埋められ、現在は市街地の一部になっている。

 現存する堀の総面積は3万1300平方メートル。地下水で水が満たされ、排水口もあるが、川のような水流はない。よどんだ状態が続くため、雨などで流れ込んだ土砂が長年たまり、特に夏場はにおいがしたり、藻類が繁殖したりして、せっかくの景観や雰囲気を損なう。市の調査では、水深が20センチ~1メートルほどなのに、たまった泥は深い所で約2・5メートルに達するという。

 こうした泥を掘り出すとしても一帯は国史跡に指定されていて、4トン以上の車両や重機は入れない。何より、泥が露出したり巻き上げられたりしたら悪臭が漂いかねず、水を全部抜く作業はそぐわない。観光客や市民が日常的に立ち入る憩いの場所にふさわしい工法は何か。それを探るのが今回の実証実験だ。

 市は9月に5業者から応募を受け、3業者の工法を試すことにした。堀に船を浮かべて機械のアームを動かしながら泥を吸引する方法、船の真下から直角的に吸い上げる方法、もう一つは水中ロボットを走らせる方法だ。泥の巻き上げや騒音を抑え、美観を損なわないなど、それぞれ長所があるという。

 一番人気の撮影スポットである天守わきの内堀で、1工法につき300平方メートルを割り当て、12月から来年2月にかけて順次施工する。除去した泥は脱水プラントで水と土に分離し、土は産業廃棄物として処理する。その結果を踏まえ、堀全体の浚渫(しゅんせつ)計画を2022年度までに策定し、23年度から3年ほどかけてすべての堀で作業する予定だ。

 内堀では13年度に1200平…

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