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 約30年にわたり群馬の演劇を引っ張ってきた。28日には国の重要文化財「臨江閣(りんこうかく)」(前橋市大手町3丁目)で岸田国士の戯曲「紙風船」を上演。群馬出身の俳優加藤亮佑さん(41)と、結婚1年目で互いの気持ちがすれ違い始めた若い夫婦をみずみずしく演じた。

 幼稚園の時にモダンバレエを習い始め、人前で演じる楽しさを知った。大学では演劇を学んだが、本格的に演技を始めたのは結婚して群馬にきてからだ。

 1990年、県の外郭団体が主催する演劇セミナーに参加した。演技力を見込まれ、いきなり主役に抜擢(ばってき)された。翌年、今度はセミナー講師に。92年に同世代の女性3人と演劇ユニット「とろんぷ・るいゆ」を設立し、現在も主宰する。公演は子育てのため4年に一度になることもあったが、演技指導は続けた。演出やプロデュースも担い、他の劇団や役者との共作や共演も多い。

 「群馬は詩人萩原朔太郎が生まれ、交響楽団がある地。江戸時代から農村歌舞伎も続く。野太い演劇の土壌のようなものが、私に火を付けたのかも」と笑う。

 「自分の思いを、観客である他者と共有できる」ことが演劇の魅力と語る。「悲しい題材や悲惨なテーマでも、見てくれた人から『勇気をもらった』と感想をもらう。観客が笑顔で帰ってくれるのが楽しい」

 大学の非常勤講師として「舞台芸術」「非言語コミュニケーション」の講義も持つ。「演技を通じた自己解放が、コミュニケーション能力向上にもつながる」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止や延期になった公演もあるが「オンラインを使うなど、やれると思えばやれる」。「紙風船」もリモートで観劇可能だ。29日も午前11時と午後2時に公演がある。

 今、群馬の演劇の全国発信を考えている。「紙風船」演出も手がける群馬出身の加藤真史さん(50)と「縁側アロハ」を今年上演予定だったが、コロナ禍で中止に。「ならばいっそ作品をそのまま全国規模の演劇祭に出品しよう」ともくろむ。「これまでは、群馬の演劇が外から評価される機会がなかった。全国の人々がどんな風にみてくれるか。新しい挑戦です」(寺沢尚晃)

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