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 神奈川県は新型コロナウイルス感染症の患者の入院ベッドの逼迫(ひっぱく)を受け、65歳以上の人や基礎疾患がある人は原則、軽症や無症状でも入院させていた従来の方針を見直す。入院の優先度を医師が判断する際の目安として、県内共通の基準を来月にも導入し、スコア(点数)が一定以上の患者を優先的に入院させる。

 27日夜にあった県感染症対策協議会で県が新たな方針を示し、了承された。

 それによると、優先度を判断するスコアは、国内で得られた年代別の重症化割合のデータや、米疾病対策センター(CDC)が公表した基礎疾患によるリスクなどを元に決めた。75歳以上の人を65~74歳の人より1点高い3点にしたり、基礎疾患ごとに1~2点を割り振ったりして、合計5点以上を患者急増期の入院の目安とした。基準を設けるのは、医師による判断のバラツキを防ぐ狙いがある。

 無症状だと1点減点となるが、人工透析を受けている人や37週以降の妊婦は初めから6点で、優先的に入院できる。また、医師が必要と判断した人や、自宅や宿泊療養施設で過ごすのが難しい家庭環境の人も優先することにした。

 協議会での県の説明によると、26日時点で新型コロナ患者用の入院ベッドは、最大確保数の23%にあたる444床が使われている(重症者用に限ると使用率は32%)。従来の方針で患者を入院させていると、新たな感染者が1日平均200人発生した場合、12月上旬には最大確保病床の70~80%が埋まってしまう。冬は心血管疾患や慢性呼吸器疾患の患者が増えるほか、がんなど他の疾病にも対応しないといけない。救える命が救えなくなる「医療崩壊」を防ぐためにも、見直しが必要だとしている。

 協議会の後、取材に応じた阿南英明・県医療危機対策統括官は「患者本人も病院も『入院の必要はない』と思うような人のスコアが低くなるように作った。スコアは現場の声で見直すし、入院するべき人は入院させる」と話した。阿南氏によると、医師の判断を抜きにすると、スコア上は、いま入院している人の半分から3分の2は入院の目安から外れるという。

 県はスコアの導入に向けて、入院対象から外れる人を受け入れる新たな宿泊療養施設の開設を急いでいる。また、自宅などで療養する65歳以上の人や基礎疾患がある人に、体調管理を充実させる器具を貸し出す準備を進めている。(茂木克信)

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