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 赤ちゃんを育てる多くの母親にとって、母乳をめぐる悩みは切実です。「授乳中はケーキを食べてはいけない」「質のいい母乳はさらさら」……。ネット上には、根拠があいまいな説がはんらんしています。いったい何が正しいのでしょうか。小児科医の森戸やすみさんに聞きました。

Q さらさらの母乳は質が良く、どろどろの母乳は質が悪いと聞きました。

A お産の直後に作られる、栄養がたっぷりの初乳は少しとろみがあります。母乳の成分は、産後の時期や、1回の授乳でも吸い始めと吸い終わりで違います。

 「お母さんの食事のせいで母乳の質が悪い」などという説を言う人がいますが、よほど偏った食生活をしていなければそんなことにはなりません。「母乳の質」という言葉には気をつけましょう。

Q ケーキや脂っこいものを食べると乳腺が詰まって母乳の出が悪くなると聞きました。本当ですか?

A 脂肪の粒は乳管より小さく、詰まることは考えられません。乳腺が詰まるのは、長時間赤ちゃんにあげられない時などに、母乳がたまってしまうことが主な原因です。授乳中はバランス良く、何でも食べることが大切です。

Q 「卒乳」はいつすればいいのでしょうか。

A 赤ちゃんとお母さんがお互いに合意のうえでやめるのが卒乳だと思います。家庭の状況や考え方によって適切な時期は違っていいと思います。世界保健機関(WHO)は、食事と併用し2歳以上まで母乳をあげることを推奨しています。母乳の乳糖だけでは虫歯になりませんが、離乳食が始まったら注意しましょう。

Q 授乳中には薬を一切のんではいけませんか。

A 授乳中にのんではいけない薬は、実はそれほど多くありません。国立成育医療研究センターがホームページで使用できる薬とそうでない薬について解説しています(https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html別ウインドウで開きます)。

 授乳にあまり詳しくない医師から、「薬をのむなら母乳をやめて」などと言われることがありますが、母乳をあげない期間が続くと、分泌そのものが低下していきます。薬で症状を楽にするよりも授乳の方が大事という場合もあるでしょうから、その際には医師とよく相談しましょう。

Q 授乳に関する正しい情報は、何を見ればいいですか。

A インターネット上には、科学的根拠のない情報もあります。厚労省(https://www.mhlw.go.jp/stf/ninpu-02_00001.html別ウインドウで開きます)など公的機関が提供する情報を参考にしましょう。

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 もりと・やすみ 1971年、東京生まれ。新生児集中治療室(NICU)での勤務などを経て、現在はどうかん山こどもクリニック(東京都)勤務。2人の女の子の母。著書に「らくちん授乳BOOK」、「子育てはだいたいで大丈夫」(いずれも内外出版社)など。朝日新聞の医療ニュースサイト「アピタル」でコラム連載中(http://www.asahi.com/apital/column/daijobu/)。