ウーバーが迫る究極の選択 競争激化で働きやすくなるか

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藤えりか
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経世彩民 藤えりかの目

 「待遇よりも、自由で柔軟に働ける方が重要。ウーバーがなくなっても困るしね」。以前に取材で知り合った、米国で3年前からウーバー運転手として働く男性(42)にそう言われ、考えた。自由か、待遇改善か。それってゼロサムで考えるものなのだろうか。

 話のきっかけは、米大統領選と同じ11月3日に米カリフォルニア州で実施された住民投票。同州で1月、ギグワーカーが企業の管理・監督下にあるとみなされるなどした場合、個人事業主でなく、最低賃金などが保証された雇用労働者として扱うとした州法が施行された。これにウーバー・テクノロジーズなどが「コスト増だ」と猛反発。自社の配車や飲食宅配の代行サービスを担う運転手や配達員を適用除外とするよう求める住民投票を提起した。計2億ドル(約210億円)超の巨額を投じたキャンペーンも奏功し賛成多数で可決。10月に州の控訴審が、運転手らを雇用労働者とする判決を出したにもかかわらずだ。

 米メディアによると、ウーバーやリフトは「州法継続ならカリフォルニアで事業停止」とまで示唆していた。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でこれ以上、仕事を失いたくない運転手らの動揺は想像に難くない。そのうえ「州法をなくさねば自由はない」とのスローガンも飛び交った。好きな時に働きたいギグワーカーには脅しにも似たメッセージだ。彼らにとって自由はレゾンデートル(存在理由)と言えるわけだから。

 「自由が第一」の考え方は、日本のギグワーカーにも根強い。ウーバーイーツユニオンの土屋俊明執行委員長(44)は、「労働基準法上の労働者としての待遇は求めない」との立場をとる。他の配達員も、「雇用労働者と同じ待遇じゃなくていい。拘束は嫌」(首都圏の30歳男性)、「好きな時に働けるのが一番」(東北の28歳男性)との声が若者を中心に目立つ。

 日本では今年、フィンランド

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