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 不登校の子どもが栃木県内で増え続けている。最近では小学生の増加が目立ってきた。学校に行けなくなった子どもたちの支援を目的とする教育機会確保法成立から4年。教育を受ける権利を守るため、学校や行政とフリースクールとの連携が課題になっている。

 宇都宮市峰町の「フリースクール ミズタマリ」。週2日の平日午後、10人前後の小中学生が、10畳ほどの一室に集まってくる。

 宇都宮大学の学生ボランティアらと話をしたり遊んだり。天気のよい日は屋外で運動し、乗馬体験や料理教室に出かけることも。自由にやりたいことをやり、穏やかに時間を過ごす。

 昨年6月に開設された。運営するNPO法人代表理事の土橋優平さん(27)は「友人や教師との関係から学校に行きづらくなった子どもに、人を信頼できる経験を積み重ねる場所を整えたかった」と説明する。

 フリースクールのほかにも、不登校の子どもたちを受け入れる適応指導教室が県内には29カ所ある。各市町教委が運営し、校長退職者や現役教員らが約280人の子どもを支援する。

 高根沢町教委は2003年に「ひよこの家」(高根沢町寺渡戸)を設置。「心と体をゆっくり休ませる居場所」と位置づけ、関係者も「モデルになる事例」と評価している。

 ただ、土橋さんは「適応指導教室では学校に戻すことが目的となり、逆に子どもを学校から離す結果になることもある。県内にフリースクールは少ないが、学校や教育委員会には適応指導教室以外にも居場所があるという選択肢を示してほしい」。

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 これまでは「どうすれば学校に戻れるか」が目標だった。それが16年12月に教育機会確保法が成立し、「学校復帰」ではなく「社会的自立」をめざすように変わってきた。ただ、現場の意識を変えるのは簡単ではない、との指摘もある。

 県内では行政とフリースクールの連携や財政支援が進んでいない。こうした状況を受け、県教委は今秋、フリースクールの実態調査に乗り出した。活動内容や運営形態のほか、学校長ごとの判断に委ねられている出席認定の状況などを市町教委とともに調べている。

 県教委は昨秋、各市町の適応指導教室を対象にした研修会や情報交換の場を設けた。フリースクールの調査についても、市町教委や学校との連携や経済的な支援につなげていくことも視野に入れて、「出席扱いにする場合の目安になるようなものをつくれないかも検討したい」(義務教育課の担当者)という。

 設立35周年を迎えた「栃木登校拒否を考える会」事務局長で、「栃木自主夜間中学」の運営などにあたる石林正男さん(68)は「フリースクールへの理解を進め、運営が厳しい財政面の支援などにつなげる調査にしてもらいたい」と期待している。(中村尚徳)

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 県教委によると、2019年度に30日以上欠席した県内の公立小中学生は3107人。10年前と比べ約1・5倍の約1千人増。特に小学生の上昇が目立ち、昨年度は900人と約2・5倍に増えた。

 学校安全課の担当者は学校や家庭など様々な要因が絡んでいるとし、学校での要因について「友人関係」「学習」「入学、進学への不適応」の順に多いと指摘する。「一人一人の状況を確認し、丁寧に対応する必要がある」

 石林さんは「受験を控えプレッシャーがかかる中学生と似たような状況が小学生に及んでいる」と心配する。小学校は今年度から5、6年生で英語が正式な教科になり、プログラミング教育が必修化された。石林さんは、1学級の人数が変わらない一方でオンライン授業の導入も挙げ、「教師も子どもも忙しすぎる。学習の方法や優先順位などに子どもの希望や意思が働きにくい」と指摘。そのうえで「日本の子どもは欧州諸国より精神的幸福度が低いという調査結果がある。学校が『勝った負けた』の世界になり、教育を受けるに従って自信をなくしていく子が増えている」と分析している。

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