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 核兵器の保有や使用を禁止する核兵器禁止条約が、来年1月に発効します。日本政府は同盟国である米国の「核の傘」で守られているとの前提に立ち、条約は批准しない方針ですが、「オブザーバー参加」という別のかかわり方に関心が集まっています。オブザーバー参加とはどういうもので、日本が参加するとどうなるのでしょうか。核問題に詳しい、東京農業大の佐藤史郎准教授(国際関係論)と一橋大の秋山信将教授(国際政治)に話を聞きました。

参加による利点は

 東京農業大の佐藤准教授は、日本はオブザーバー参加をすべきだという立場で、複数の利点があると言います。

――そもそも、オブザーバー参加とはどういうものなのでしょうか。

 「条約を批准していなくても、条約の実施状況などを話し合う締約国の会議を傍聴したり、意見を述べたりできる仕組みです。条約の内容に縛られないかわりに、意思決定権がないのが、締約国との違いです。オブザーバーとしてどこまで関与できるかや参加の条件は、条約ごとに違います」

――核兵器禁止条約の場合、オブザーバー参加はどう定められていますか。

 「条約の第8条第5項で、日本のように批准していない国や、国際赤十字などの組織がオブザーバー参加の対象になると書かれています。ただ、オブザーバーが会議を傍聴できるだけなのか、意見も言えるのかは実はまだ決まっていないんです。こうした手続き的なことは、発効後1年以内に開かれる第1回締約国会議で話し合われます」

――日本政府はオブザーバー参加に慎重な姿勢のようですが、公明党が参加を検討するよう外務大臣に要望書を出すなどの動きが出ています。オブザーバー参加をすると、日本にメリットがあるのでしょうか。

 「複数の利点があります。まず、仮に傍聴しかできないとしても、条約に関与する姿勢を示すことで、唯一の戦争被爆国という日本の道義的権威を保つことができる点です。核兵器禁止条約は122カ国・地域もの賛成で採択されており、核兵器が非人道的であるという認識の高さを示しました」

 「二つ目は、核の傘に入っていることと、核兵器禁止条約の趣旨に賛成することが矛盾しないということを国際社会に示せる点です。『核兵器のない世界』は目指しているが、安全保障上、米国の核の傘に入らざるを得ないので今は批准できないという日本の事情を、きちんと説明する必要があると思います」

――ほかにも利点はありますか。

 「もし傍聴だけでなく意見が言えるのならば、締約国の意思決定に影響を与えられるかもしれません。核兵器を具体的にどう禁止していくのかは、今後開かれる会議で話し合って決められます。抑止力としての核の禁止を定めた条文の解釈など、『核の傘』に関わる重要な論点もあり、議論に関与していくことはとても大事です」

 「日本には核保有国と非保有国の溝を埋める役割も期待されます。日本は被爆国でありつつ、中国、北朝鮮と地理的に近く、『核の非人道性』と『安全保障』の間で板挟みになってきました。世界で一番ジレンマのある国だと思います。だからこそ、オブザーバーとして、保有国の意見も代弁しつつ非保有国に歩み寄る、両者の橋渡し役ができるのではないでしょうか」

――日本がオブザーバー参加をし…

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