第9回イランは「後戻りできない」 米国の圧力で強硬派躍進 

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テヘラン支局長・飯島健太
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ポストトランプ 世界の視線
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テヘラン支局長・飯島健太

 トランプ米政権によって「目の敵」とされてきたイラン。来年6月に大統領選を控える中、米国を強く批判し、対立路線を主張する強硬派が勢いづいている。「もう後戻りできないかもしれない」というイラン外交専門家の言葉の背景を探ると、トランプ政権による「最大限の圧力」政策が何をもたらしたのかが、見えてくる。

 11月、テヘランのバザール(市場)で取材していると、共通して聞かれる声があった。「肉や卵を買うお金がなくなった」

 イランの物価高は深刻になっている。政府の統計によれば、物価の上昇率を示す指数が11月下旬までの年間平均で、前年同時期より29%上がった。

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テヘラン中心部のバザール(市場)は、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため11月21日に始まった2週間の経済活動の制限により、ほとんどの店舗が閉まり、閑散としている=2020年11月25日、飯島健太撮影

 空調設備業を営むムハンマドさん(44)は物価高にコロナ禍が加わり、エアコンの修理や修繕の依頼が9割減った。「自宅の家賃の支払いで精いっぱいだ。残りは米と野菜に消えてしまう」。買い物に連れてきた娘(10)と息子(2)を見やりながら肩を落とした。「肉だけじゃない、果物さえ買ってやれない」

 暮らしを暗転させたのはトランプ政権だ――。

 イラン国民の間では、そういう受け止めが少なくない。2018年8月に米国が経済制裁を始め、イランは国家予算の5割超を占めていた原油販売の収入の大半を失った。国際通貨基金(IMF)によると、経済成長率は18年にマイナス5・4%、19年にマイナス6・5%。外貨不足や通貨リアル安、輸入の停滞による物不足が家計を直撃した。

 「政府は経済回復を誓っていた。裏切られた」。ムハンマドさんの声には怒気がこもっていた。

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