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 大西洋で生まれるヨーロッパウナギやアメリカウナギの産卵場が、長年定説とされてきた海域より東の大西洋中央海嶺(かいれい)付近にある可能性が高いとする新説を、海洋研究開発機構など日仏の研究チームが示した。この海域は、太平洋で確認されたニホンウナギの産卵場と同様の特性を持ち、大西洋の稚魚などの分布もうまく説明がつくという。

拡大する写真・図版大西洋ウナギ(ヨーロッパウナギ)(C) E. FEUNTEUN MNHN

 ヨーロッパウナギとアメリカウナギは大西洋ウナギと総称される。その産卵場は、20世紀の初めにデンマークの科学者が唱えて以来、米国南東沖のサルガッソ海というのが定説となってきた。ただ、サルガッソ海では、探索が続けられたものの、卵や産卵中の成魚は見つかっていない。

 一方、太平洋では、ニホンウナギがマリアナ海嶺の海山で産卵することを東京大などが2006年に報告。産卵場と確認されている。この海域では、南北に連なる海嶺と、東西に伸びる水温と塩分の急変部が交差している。この知見をもとに、研究チームは大西洋で海嶺と水温・塩分の急変部が交差する場所を探し、北緯15~29度、西経43~48度の海域を特定した。

 ここで孵化(ふか)した大西洋ウナギが海流に乗って回遊すると仮定して解析すると、これまでに採集された幼生や稚魚の分布をうまく説明できたという。海域の北側で産卵すると欧州方面へ向かう北大西洋海流に乗りやすく、海域の南側で産卵すると米国方面へ向かう北赤道海流に乗りやすいこともわかった。

 このため研究チームは、サルガッソ海よりこの海域が、本来の産卵場である可能性が高いと判断した。

 チームに加わる海洋機構の宮澤泰正アプリケーションラボ所長代理は「ウナギは方位や化学物質を感知できると考えられ、海水の化学的な状態が異なれば海域を区別できる」と話し、ヨーロッパウナギとアメリカウナギが海域の中を使い分けているとみる。チーム内では、この海域での産卵場探しを提案する声も出ているという。

 この成果は科学誌サイエンティフィック・リポーツ(https://www.nature.com/articles/s41598-020-72916-5別ウインドウで開きます)で発表された。(米山正寛)